この記事の連載
- 小林涼子インタビュー前篇
- 小林涼子インタビュー後篇
会社経営をしているからこそ、久保田先輩役にもリアリティを感じられた
――別のインタビューで、「若い頃は自分の俳優としての個性について悩んでいた」と仰っていましたが、今はどう考えていますか?
小林 幸いなことに、会社をやりだしてからは、自分の個性や自分らしさが、今までよりは少し見つかったような気はしていますね。俳優としては、いまだに何が自分の個性であり、皆さんにどのようなイメージを持ってもらえているのかわかりませんが今は求められる役に自分との共通点なども見つけながら楽しんで演じています。
――俳優さんというのは、ある役を演じて、それが周知されていく中で、自分の個性みたいなものができてくるということもあるということなんでしょうか。
小林 そうですね。例えば癖のある悪役を演じて周知されると、それが良くも悪くもそのままその俳優さんのイメージになることもあると思います。でも私はまだそこまで認知がないと思うのでもうちょっと頑張らないといけないなとは思います。『虎に翼』では、皆さんに久保田先輩という役に関心を持っていただいたからこそ、こうやって取材をしていただく機会も増えたのかなと思うと、うれしいことですね。
10代~20代前半の頃は見えていたものが、20代後半~30代前半にかけて見えなくなり俳優としての自分のあり方に迷いを感じていました。最近、多かったのは「元カノ」の役です。もしかしたら「元カノ」は私の俳優イメージの一つになっていたのかもしれません。今回の『虎に翼』では久保田先輩のような責任感のある女性像というものを任せてもらい、自分が会社を経営しているという経験があるからこそ、新しい姿を提案できたのかもしれないと思います。
――「ハヤブサ消防団」で演じられた、カルト教団の聖母役もインパクトがありましたね。
小林 ありがとうございます。とても面白くやりがいのある役をいただきました。もしかしたら、私が俳優として醸し出している雰囲気からこの役をいただいたのかも……? と思うと面白いですね。一方で、俳優としては、無色透明でどんな役でも演じられるようになりたいという思いもあるので、役とイメージがイコールにならなくてもいいなとも思っています。
» 【つづきを読む】「‟小林家の涼子”としての自分は…」自身が語る「小林涼子の素顔」とは?
小林涼子(こばやし・りょうこ)
1989年生まれ、東京都出身。子役としてデビュー後、NHK連続テレビ小説「虎に翼」をはじめ、数多くのドラマや映画などへ出演が続いている。俳優業の傍ら、2014年より農業に携わり、家族の体調不良をきっかけに2021年株式会社AGRIKOを起業。農林水産省「農福連携技術支援者」を取得し、自然環境と人に優しい循環型農福連携ファーム「AGRIKO FARM」の運営、アート事業を展開。さらに報道番組への出演やラジオナビゲーターなどパラレルキャリアで活動の幅を広げている。
Instagram @ryoko_kobayashi_ryoko
株式会社AGRIKO
衣装クレジット
トップス、パンツ(LOVELESS)
www.instagram.com/loveless___official
2024.11.29(金)
文=西森路代
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=髙 千沙都