この記事の連載

 文春オンラインで連載中の漫画『死ぬまでバズってろ!!』。主人公・タパ子が告発系インフルエンサーとして有名になる過程と、彼女に翻弄された人たちの復讐劇がスリリングに描かれています。

 著者のふせでぃさんに、漫画家としてスタートするきっかけとなったSNSとの関わり方や、作品の変化などについて伺いました。

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ふせでぃがSNSを始めたきっかけは?

――ふせでぃさんはInstagramにアップしたイラストから人気作家となりました。SNSを始めたきっかけは?

ふせでぃ 「絵を描く人」だと思われたかったからだと思います。美大を卒業してからすることがなくて、描いた絵を公開するようになりました。最初はほとんどフォロワーがいなかったけど、続けていくうちにありがたいことに人気が出ました。

――当時はイラストレーターとして活動していて漫画家を目指していたわけではなかったそうですね。

ふせでぃ 漫画家になるとは思っていなかったんです。漫画家はストーリーが必要だから頭がよくないとできない仕事だと思っていました。私はあくまで絵を描くのが好きだから、目指すとしたら絵師かなって。

 幼稚園の頃から絵を描くのが好きで、小学校のクラブ活動はイラスト部へ。中学では野鳥とか防災ポスターで毎年どこかから表彰を受けたので、「絵はうまいんだろうな」って自覚はありました(笑)。振り返ると「ふせでぃ、絵がうまいから漫画家になりなよ」って言ってくれる子は中学、高校、大学といたんですけど、「無理だよ。だって国語の成績2だもん」って返してました。

――美大を卒業して漫画家になるまでは、どんなことをしていたんですか?

ふせでぃ 代々木八幡にある耳鼻科の受付でアルバイトをしていました。イラストや漫画で食べていけるようになるまでの2年弱ほど、カルテの書き方とか医療事務の知識が少し身に付きましたね。今でも「めまいがある」と相談されたら「突発性難聴かもしれないから早めに耳鼻科へ行った方がいいよ」ってアドバイスできるくらい。院長先生が信頼できる方で、何かと理由を付けて今でも通いたくなります。

――イラストを描いていることは、職場で話題になったりしましたか?

ふせでぃ 若い看護師さんから、「これ、ふせちゃんの絵?」とSNSにアップした絵について聞かれたことがありました。でも私の心情は複雑で。初期の作品はポエムチックだったから、「めちゃくちゃポエマーだと思われてるんだろうな」って恥ずかしかったです。

2024.09.27(金)
文=ゆきどっぐ
撮影=石川啓次