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漫画では主人公の引っ越し先にも注目!

――バズに疑問を感じてからSNSとは距離を置いたそうですが、最近はどんな風に利用していますか?

ふせでぃ 完全に見る側です。ネイルとまつエクと、賃貸物件ばかり。ずっと見ているから「この物件、また上がってきたな」と動きを覚えているくらいです。

 昔から、常にいい家を追い求めちゃうんですよね。今は少し落ち着いたけれど、2年に1度とか、更新を待たずに8カ月で引っ越すこともあったかな。家にいる時間が長いから、「こんなに安くて広い!」みたいな物件を見ちゃうと「もう引っ越しちゃおうかな」って思えてきて。間取りを見るのが好きなんですよ。

――今作でも、主人公が引っ越す描写がありましたね。

ふせでぃ そうなんです。古いアパートを出したり、デザイナーズマンションにしたり。漫画では螺旋階段のある物件が登場するんですけど、私も憧れで住んでみたいんです! タパ子はこれから成りあがっていくので、物件の変化も楽しみにしていてほしいです。部屋のインテリアはInstagramやPinterestを参考にしています。

『ドラゴンボール』のベジータにときめき

――漫画家を目指すにあたり、「これが自分の原点だ」と感じた作品はありますか?

ふせでぃ 小さい頃は団地に住んでいてあまり裕福ではなかったし、親が「物を増やしたくないから」と、本はそこまで多くなくて。唯一、母が高橋留美子さんの作品が好きで、それだけは置いてありました。『人魚の森』とか『らんま1/2』とか。中でも、『Pの悲劇』は私も大好きでしたね。それが原点かな。

 好きな作品だと『HUNTER×HUNTER』とか、『美少女戦士セーラームーン』とか、『20世紀少年』。友達の家で読んだ種村有菜先生の漫画からも影響を受けていると思います。アニメでは、『美少女戦士セーラームーン』とか『魔法騎士レイアース』が好きでした。『魔法騎士レイアース』は龍咲海ちゃんというキャラクターが好きで、レンタルビデオ屋で何度も借りましたね。CLAMP先生は世界観と美術が神です。

――最近読んだ漫画で印象的だったのは?

ふせでぃ 『ドラゴンボール』です。少年漫画の勉強がしたくて、改めて全巻揃えたんですけど、2日で読み終わりました。アニメも面白いですが、マンガはその2000倍面白かったです!

 構図とか絵の描き方も勉強になりましたが、何よりキャラクターですよね。ベジータに「王子!」ってときめいていました。あの作品はロジックだけでなく、鳥山明先生の天性の力を感じて改めて尊敬しました。

「面白い原作が描けるようになりたい」

――漫画を描くときのモチベーションは?

ふせでぃ ネームと作画で違います。ネームは、できれば人が見たことがないものを目指したい。一方、作画は自分が楽しむっていうのを大切にしています。絵を描くことが好きなので、逆にそれがつまらなくなるときついはずですね。

 キャラクターも大切で、前作の『悪いのはあなたです』では主人公が不倫に巻き込まれる受け身タイプだったので、自分からバズりに行く行動派のキャラクターを主人公にしました。

――ふせでぃさんの初期の漫画作品は人の心の機微が中心でしたが、最近はストーリーにも重心が置かれた印象があります。どういう変化があったのでしょうか。

ふせでぃ 面白い原作を描けるようになりたい。その一心ですね。

 自分の幅を広げるために流行っている作品はできるだけ観るようにしています。最近だとNetflixドラマ『地面師たち』とか劇団四季の『美女と野獣』とか。なるべくお金を使って自分の感情を動かしています。

――作品を観る時はメモを取る方ですか?

ふせでぃ メモを取ることもありますけど、基本的には良かったところを言語化して、話すようにしています。

――漫画の作画作業で、映像作品を流したりしますか?

ふせでぃ 私は作画の時に映画とかを流しながら作業するのが難しくて。場面ごとに音楽を変えたり、YouTubeの自己啓発系動画とか、日本の歴史・世界史とかを流したりしています。

2024.09.27(金)
文=ゆきどっぐ
撮影=石川啓次