「一人芝居はしたくない」その理由は?

──『劇場版 アナウンサーたちの戦争』での、和田アナウンサー役も素晴らしかったです。終盤の和田アナの全力で魂を込めたようなアナウンスに胸を打たれました。森田さんはダンスもお上手ですが、言葉を使った表現が今は楽しいのでしょうか?

 僕にとっては、言葉の表現も肉体の表現も、感覚としては一緒です。映像でも舞台でも、お芝居をするなかでのライブ感というか、ちょっと体温が上がるような感覚を得られると楽しいなと思います。

──稽古などで、思うように言葉が乗らない日もありますか? 

 しっくりこない日はあります。でもそれは、おそらく僕に技術的なものが足りていないからなんだろうと思います。これまで共演してきた方や、舞台を観に行って「力が抜けていていいな」と思う役者さんは、そういう技を持っていらっしゃる気がしますね。

──いつか一人芝居をやってみたいと思います?

 全く思わないです。一人じゃ何もできないから無理ですね。

──これまでにも現代劇、翻訳劇、いろんなタイプの舞台に出演なさっていますが、できるだけチャレンジングなことをしたいですか? 

 そうですね。先の見えないものはいいですよね。予想のつくものは面白くないから。

──森田さんは、俳優業の喜びをどういうところに感じているのでしょう?

 役を通して、演じている瞬間瞬間に、「生きている」という感覚を得られたときですかね。でも、稽古で物語が立体的になっていく間も、全部ひっくるめて(喜びを)感じていると思います。

 つくづくラッキーだなと思うんです。

 今回、こうして赤堀さんと舞台をご一緒できるというのも、こんなふうにチャンスをいただけるのはありがたいなと。自分だけではどうにもできないことですから。

 チラシの共演者の方々の顔ぶれを見るだけでもワクワクします。

2024.09.29(日)
文=黒瀬朋子
撮影=佐藤 亘