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温泉回数券のトレードも百戦錬磨の母

――捲猫さんはどんなときに温泉に行って、どう過ごされますか?

 私は座り仕事が多いので、長時間座ったままで体が硬くなったなと感じたとき、温泉に行きます。その時は、軽く運動をして汗をかいてから温泉に入って、湯上がりにおなかが空いたら何か食べて帰るというのが私のお気に入りの過ごし方です。

 浴室での過ごし方は、私は熱いお湯に長く浸かることが苦手なので、色々な浴槽をぐるぐる回ったり、入浴と休憩を交互に繰り返したり、浴室を出て休憩室でゆっくり過ごすというのがルーティーンですね。私の場合、取材を兼ねて行くことが多いので、休憩しながらまわりの人たちの会話に耳をそばだてて、マンガのネタ探しをするのも楽しみのひとつです。

――台湾で一緒に温泉に行く仲間はいますか?

 本に登場するキャラクターはすべて実在の人物で、その中の数人とは一緒に行くこともあります。ただ、水着着用の温泉ならOKという人も少なくないので、はだか湯に行くときは、台湾でも母と一緒のことが多いですね。母は昔セールスウーマンだったので、人と話すのが好きだしとても得意。温泉でも知らない人にすぐ話しかけて仲よくなって、温泉回数券のトレードも百戦錬磨です。その点、私はあまり社交的ではないので、母と一緒だと予期せぬことがおこって楽しいです。

――温泉に行くときの捲猫さんの必需品を教えてください。

 台湾のほとんどのはだか湯では、シャワーキャップの着用が必須なので、繰り返し使えるシャワーキャップは絶対です。あと、庶民的でリーズナブルな温泉は、貸しタオルなどのサービスがなかったりするので、タオルとボディーソープも必須。水筒とコーヒーのドリップパックも欠かせませんね。本でも持ち物リストを紹介していますが、こうした情報はお節介に思えるかも知れませんが、描いていてとても楽しかったので、日本の読者のみなさんにも、そんな細かい部分を見ておもしろがってもらえたら嬉しいです。

インタビュー【後篇】に続く

捲猫(まきねこ)

台湾台北出身。国立政治大学広告学科卒業。英国キングストン大学イラストレーション・アニメーション科イラストレーション専攻修士。動物を描くのが好き。大学・大学院卒業後、長らく同人誌会場に出没。独立出版物に、絵本スタイルのコミック作品『刺蝟的愛(ハリネズミの愛)』『捲兔的留英人生(捲兔の英国留学人生)』などがある。2022年、台湾・原動力文化より『捲兔的台灣裸湯:北部篇(台湾はだか湯めぐり:北部篇)』を刊行。温泉旅行と節約ライフが好き。人生の幸福とは、家族が健康であること、期限間近商品のショッピング、飲み物を買う時マイボトルを持参して5元割引してもらうこと。

台湾はだか湯めぐり 北部篇

定価 1,650円(税込)
中央公論新社
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次の話を読む『台湾はだか湯めぐり』著者の台湾出身の漫画家・捲猫さんが『シティーハンター』を大好きだったワケ

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2024.09.04(水)
文=田辺千菊(Choki!)
写真=石川啓次