この記事の連載

 最近Xの投稿が頻繁にバズる、ある企業があります。それは、創業77年を迎えた老舗企業、富士ホーロー。

 2023年の秋にアップされた、とある投稿(下参照)に6万を超える“いいね”がつき、担当ライターもこの投稿をきっかけに製品を購入。

 以来アカウントをフォローし、毎日のように投稿を追っかけているのですが、その内容にクスッと笑ってしまったり、ホーローへのたっぷり過ぎる愛が伝わってきて、微笑ましい気持ちにさせられることもしばしば。写真もセンスがよくて可愛いし、「この中の人はいったいどんな人?」と純粋な興味が湧いてきまして、お話を伺いに行ってきました!

 富士ホーローは、ホーロー製の調理器具を製造販売している会社ですが、なぜそんなにも話題になっているのか。ホーローへの愛からSNS担当としての経緯、CREA読者にオススメのホーロー製品などなどを、語り尽くしていただきました。2回にわたってお届けします。インタビュー【後篇】を読む


やっぱりうちの商品は可愛いんだ! と実感

――プロフィールが「X担当(2代目)」となっていますが、会社での経歴や、どんな経緯でSNS担当になったのか教えてください。

 私は入社して1年半になります。メインの仕事はグラフィックデザイナーなのですが、実は前職でもXの担当をしていまして、元々富士ホーローの製品が好きで、1代目のX担当の方とも交流させていただいてたんです。

 「もしデザイナーが必要だったら、お声がけください」と伝えていたら、本当に声がかかりまして、入社しました。デザイナーとして働くつもりだったのが、「SNSもお願いします」と言われ、あれよあれよという間に……(笑)。

――最初に投稿がバズったときのご感想は? 社内での反響などはいかがでしたか?

 この時は、こんなにバズるとはまったく思っていなかったので、本当に驚きました。これはショールームの写真で、ショールームを整えるのも私の仕事なので、「キレイに整えられたな」と思って写真を撮り、投稿しただけなんです。投稿してから退社前には、せいぜい5,000“いいね”もいかないくらいだったので、伸びるという感覚は正直なかったのに、一晩たったら6万を超えていて。

 これだけ“いいね”がつくということは、やっぱりうちの商品は可愛いんだ! と改めて実感しました。

――社内での反響も大きかったのでは?

 それが、社内でSNSをこまめに見ている人が少ないので、ほとんど反応はなかったです(笑)。唯一専務だけはXを見てくださってるので、「なんでこんなに“いいね”がついて、なんでこんなにフォロワーが増えてるの?」と不思議がっていました。

2024.07.25(木)
文=斎藤真知子
撮影=鈴木七絵