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歯と歯茎の隙間を見つけたら歯間ブラシ

 フロスの使い方をお伝えしてきましたが、年齢を重ねると歯周病が進行して歯茎が下がっていきます。すると若いうちは空いていなかった歯の根本の隙間が大きく開いていきます。フロスは隙間の少ない細かいところで力を発揮しますが、この状態になってしまうとフロスだけではどうしても歯の汚れを除去しきれませんし、歯磨き効率も下がってしまいます。そんな歯の隙間が空いてきた方には歯間ブラシの併用を進めています。

 歯間ブラシは、歯と歯の間の根元、ブリッジや、部分入れ歯のバネがかかる歯も驚くほど綺麗にできます。サイズは、4Sのように小さい物なら歯茎を傷つけません。最初は鏡を見て、歯と歯間ブラシが直角に交わるように歯と歯の隙間に差し込んで3往復ほど磨いてください。歯に沿わせ上下と前後に動かします。斜めにすると歯間ブラシが折れる危険があります。金属タイプは、しっかりと汚れを落とせますが、隙間が狭い場合にはゴムタイプの方が痛くありません。使ったことがない方も多いかもしれませんが、歯の根本に隙間を見つけたら積極的に使っていきましょう。

最後の仕上げに「スポンジブラシ」

 10分以上、3種類の歯磨き法で磨き、フロスや歯間ブラシで歯の隙間のプラークも落とす。これで、歯と歯周ポケットのプラークはほぼ落とせました。しかし、それでもまだ落とされず残っているのが、プラークの恐ろしいところです。では、残りのプラークはどこに潜んでいるのかというと、それは歯茎です。

 もし、歯垢染色剤を購入したのなら、ぜひ試していただきたいのですが、歯磨き、フロス後に歯垢染色剤を使ってみると、歯茎が真っ赤に着色されているのをその目で確認することができます。

 しかし、歯ブラシでは歯茎を磨くことはNGです。歯ブラシの固い毛先では柔らかい歯茎を傷つけてしまいます。歯茎にプラークが残っている。しかし、磨いてはいけない……。このアンビバレンツな難問をクリアしてくれるのが「スポンジブラシ」です。

 主に介護現場など、歯磨きが困難な人などに使われているスポンジブラシですが、これほど歯以外の場所を清掃するのに優れたアイテムはありません。

 スポンジブラシを水で湿らせて絞った後、歯茎をスッスッと磨いていくと、綺麗にプラークを落としてくれます。歯茎は、普段磨くことのない場所なので、最初のうちは違和感を覚えるかもしれません。しかし、たっぷりばい菌が付着している場所なのでしっかりと綺麗にしましょう。

 また、スポンジブラシは歯茎だけでなく、口内全体を磨くのにも適しています。舌や頬の粘膜など口内全体をスポンジブラシで磨くのも菌を減らすための有用な手段です。

2024.06.20(木)
文=伊東材祐