広大な国土に広がるダイナミックな自然、多種多様な生態系、そしてドラマに満ちた歴史と文化を有するオーストラリア。
自然・文化・複合を併せ20を数える世界遺産が、その奥深き魅力を物語ってくれる。
この大陸を物語る驚くべき世界遺産の数々
総面積は日本の約20倍、世界で6番目に広い国土を有する国、オーストラリア。沿岸部以外はそのほとんどが砂漠や乾燥した草原であることから“世界で最も乾燥した大陸”と呼ばれるが、地域によって気候も景観も大きく異なり、様々な表情を楽しませてくれる。
また、他の大陸から隔離されていることからオーストラリアの生態系は独自の進化を遂げており、動植物の固有種が非常に多い。だが、現在では約2,000種近くの野生生物が絶滅の危機に瀕しているとされ、厳しい検疫措置を実施するなど国をあげての保護活動を急いでいる。
一方この国には、古代から続く驚きに満ちた歴史がある。約2億5000万年前には恐竜がこの地を闊歩し、約6万年以上前に先住民であるアボリジナルピープルとトレス海峡諸島の人々が定住を果たす。やがて1770年に英国人のジェームズ・クック中尉が上陸し、オーストラリア大陸東側の一部を占領。その後各地に流刑地を設けるなど植民地化を進めたことから、この国に英国風の文化が定着していく。オーストラリア連邦として独立した後も多くの国からの移民を受け入れるなど、先住民をはじめとする多様な人種と文化をリスペクトし共生する国家として歩みを進めてきた。
そうしたオーストラリア固有の自然や歴史、文化を象徴する20のエリアやスポットが、現在ではユネスコの世界遺産として登録されている。それぞれの成り立ちを知るだけで、オーストラリアの奥深き魅力に触れることができるはずだ。
Commonwealth of Australia
国名 オーストラリア連邦
首都 キャンベラ
通貨 オーストラリアドル(AUD)
※今特集ではAUD=$と表記します。1$≒99円(2024年3月現在)
時差 日本時間より東部標準時で+1時間、 中部標準時で+30分、西部標準時で-1時間(州によりサマータイムあり)
※国際電話番号 +61
※掲載された情報はすべて2024年3月現在のものです。
※各施設・店舗の営業時間や定休日は変わることがあります。
また、祝日、年末年始には休業することがあります。
◆Uluru-Kata Tjuta National Park
ウルル–カタ・ジュタ国立公園
ウルル-カタ・ジュタ国立公園は、世界最大級の一枚岩「ウルル(エアーズ・ロック)」と奇岩群「カタ・ジュタ(マウントオルガ)」を有する、アボリジナル・ピープルの重要な聖地。平坦な地にそびえ立つ高さ348メートルのウルルは、気象条件により赤、紫、オレンジと様々な色に変化。
一方、アボリジナルピープルの言葉で「たくさんの頭」を意味するカタ・ジュタは20キロメートルにわたって36の巨大な岩が連なり、いずれの地にもミステリアスな景観が広がっている。
◆Kakadu National Park
カカドゥ国立公園
総面積は四国を超えるというオーストラリア最大の国立公園、カカドゥ国立公園。北部はマングローブが生い茂る緑豊かな湿地帯、南部には乾燥した砂岩断層の渓谷が続き、干潟、海岸、モンスーン森林などオーストラリアで最も多様な生態系が残されている。
またカカドゥは古くからのアボリジナルピープルの居住地としても知られており、神話に登場する「雷男(ライトニングマン)」など、彼らが描いた古代壁画が残されている。
2024.04.15(月)
文=張替裕子
写真=志水 隆、橋本 篤
協力=オーストラリア政府観光局