肌に赤みや皮むけが生じる現状が、「A反応」というワードでバズった「レチノール」。赤みは効いている証拠だから我慢すべき? 併用するとNGな成分はある? 知っているようで知らないレチノールの効果と使い方を、皮膚科医の髙瀬聡子先生に聞きました!
【疑問1】レチノールってシワに効くってホント?
髙瀬 本当です。レチノールは「ビタミンA」の一種で、肌細胞の増殖や、ターンオーバーを促す働きがあります。また真皮の線維芽細胞を刺激して、コラーゲンの生成を促す働きも。肌を内側からふっくら保ち、シワの改善が期待できます。
――シワだけではなく、他の肌悩みにも効果があるんですか?
髙瀬 新しい肌が生まれる効果によって、色素沈着の治療にも使われます。シミやくすみの改善ですね。同じ理由で、毛穴、ニキビやニキビ跡の改善にも力を発揮します。
【疑問2】クリニックで使う「レチノイン酸」と「レチノール」は同じもの?
髙瀬 大枠の分類は同じですが、活性が全然違います。ビタミンAとその類似の働きをするものを、まとめて「レチノイド」と呼びますが、2つとも「レチノイド」に分類される成分なんですね。肌に浸透すると「レチノール」の一部が「レチナール」に変換され、さらにその一部が「レチノイン酸」に変換されて、細胞の増殖やターンオーバー促進に作用します。
――レチノールとレチノイン酸では肌への効果が違うんですか?
髙瀬 「レチノイン酸」が最も活性の高い成分です。効果が期待できるぶん、赤みや皮むけなどの副作用があります。クリニックで使う外用薬の「トレチノイン」は、レチノイン酸の一種で、医師の処方が必要です。
一方で「レチノール」には誘導体が存在しており、化粧品に安定して配合することができます。前述の通り、肌の中でレチノイン酸に変わりますが、トレチノインの外用薬に比べると作用はマイルドです。
2024.04.04(木)
文=宇野ナミコ