母は高齢で血圧が高く非公開に

 シンシンの母親のインイン(英英)も血圧が高めになっています。インインは1991年生まれ。野生で保護されたので、正確な誕生日はわかっていません。現在は、四川省にある中国ジャイアントパンダ保護研究センター(以下、パンダセンター)の都江堰(とこうえん)基地で暮らしています。筆者が2018年11月に都江堰基地を訪れると、インインは入口の近くで公開されていました。

 でも2023年6月に再訪すると、インインは非公開になっていました。スタッフに尋ねたら「インインは高齢で血圧も高くなっているので、公開していません」とのこと。インインがいた場所にはインインと同じ1991年生まれのバイユン(白雲)がいて、公開されていました。バイユンは現在32歳で、王子動物園のタンタンの姉です。

 上野動物園と王子動物園は、日ごろからパンダセンターとデータのやり取りをしています。現在は、ちょうどパンダセンターの獣医師の王承東さんが来日中。心臓疾患のタンタンの病状を把握して、治療に関するアドバイスをするために、8月11日から3カ月ほど滞在する予定です。

 王承東さんはかつて上野動物園を訪れたこともあります。シンシンとリーリーを中国から受け入れるために、上野動物園のパンダ舎がリフォームされた際は、2011年に来園してパンダ舎をチェックしました。今回、神戸から上野に出張してシンシンを診察する可能性があるか気になりますが、上野動物園は、パンダセンターとデータを共有するなどしているので、9月22日(金)時点では、診察目的での王承東さんの来園は予定していないとのことでした。

 シンシンが公開をお休みして昨日で1週間。当初の予定通りなら、非公開はもう少し続く見通しです。シンシンの体調が回復して、健やかに過ごせるようになることを願います。

中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo

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定価 1,650円(税込)
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2024.01.03(水)
文・撮影=中川美帆