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「菊之助兄さんの存在が大きい」

――戦の絶えない人間界を神々が憂える中で、迦楼奈も阿龍樹雷も神と人間の間に誕生した子。迦楼奈は戦を止めるため、阿龍樹雷は圧倒的な武力によって世界を制圧するため、相反する使命を担っている存在。取材会の席で役どころについて少し迷っているような発言がありました。それはどんなことだったのでしょうか。

 迦楼奈は、五王子たちのいとこである鶴妖朶(づるようだ)王女に永遠の友情を誓うことになり、それによって決して正しいとはいえない方向にいってしまいます。すると阿龍樹雷たちが言っていることの方が正義のように聞こえてくる……。迦楼奈目線でご覧になっているお客様にとって、それはどう映るのだろうかと思ったんです。ですからそのバランスに気をつけながら日々探っています。

――文字で考えるとそうかもしれませんが、生身の人間が舞台で演じているなかでは気になりませんでした。

 それは菊之助兄さんの存在が大きいと思います。相手役として僕がやりやすい状況をつくってくださるんです。踊りや立廻りなどの場面での身体の使い方でもそれを感じます。ですから兄さんの望む方向についていけるように、対応できるようでなければと思っています。

――ふたりが真っ向から衝突する大詰の立廻りは、両花道を使った登場シーン含め圧巻ですね。

 客席が減ってしまいますし仮花道を設置するのは大変だと思いますが、やはり両花になると演出の幅が広がっていいですよね。お客様も喜んでくださいますし、演じている方も高揚感を感じます。迦楼奈との立廻りは『仮名手本忠臣蔵』に例えるなら小林平八郎と竹森喜多八の泉水の立廻りの様にとらえています。

――1対1で激しくぶつかり合う「泉水の立廻り」は『仮名手本忠臣蔵』の立廻りの中で最大の見どころ。さまざまなシーンで古典の経験がヒントになっているのですね。

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吉例顔見世大歌舞伎

期間 2023年11月2日(木)~25日(土)【休演】10日(金)、20日(月)
昼の部 11:00~ 極付印度伝 マハーバーラタ戦記
夜の部 松浦の太鼓 16:30~ 松浦の太鼓/鎌倉三代記/顔見世季花姿繪
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/843


新春浅草歌舞伎

期間 2024年1月2日(火)~26日(金)【休演】8日(月・祝)、19日(金)
第1部 11:00~ お年玉〈年始ご挨拶〉/本朝廿四孝 十種香/与話情浮名横櫛 源氏店/神楽諷雲井曲毬 どんつく
第2部 15:00~ お年玉〈年始ご挨拶〉/一谷嫩軍記 熊谷陣屋/流星/新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/other/play/833


スーパー歌舞伎
三代猿之助四十八撰の内
ヤマトタケル

期間 2024年2月4日(日)~3月20日(水・祝)
【2月休演】13日(火)、22日(木)、29日(木)【3月休演】4日(月)、11日(月)、18日(月)
昼の部 11:00~
夜の部 16:30~
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/play/842

次の話を読む「もっと壁にぶち当たりたい」 歌舞伎俳優・中村隼人が10年前に思い描いた夢とは【後篇】