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“サイコパス”をヘアメイクでどう表現する?

──普段、菜々緒さんはメイクもご自分でされると伺っていますが、今作もご自身でメイクされたのですか? サイコパス風のメイクはどう工夫されたのでしょうか。

 さすがに今回は、監督やヘアメイクさんと相談しながら進めました。

 私が演じた戸城嵐子は、美人でエリートですが、ファッションには全く無頓着な女性です。おそらく、「メイクなんて、眉毛をささっとペンシルで書いておけばいいか」くらいな意識だったり、髪型も朝起きて、水をつけてブラシでちょっと梳くだけで、寝癖も直さない。そんな、「きちんとしている感」があまりなく、そういったところにこだわらない雑さ、みたいなものは出せるように意識しました。

 それと、戸城嵐子については監督の中に「こうしたい」というビジュアルの理想像みたいなものがあったようなので、それもあって、私が全部自分でメイクをするのではなく、監督の意向をメイクさんに出してもらえるよう、ある程度おまかせした部分も大きかったですね。

 たとえばヘアを結ばずに降ろすスタイルでいくことにしたのも、メイクさんと監督とで相談をした結果です。現場検証ではさすがに結んでいますが、ブラシをていねいにかけないバサバサの髪の毛は、おそらく降ろしていた方が醸し出せると考え、あのヘアスタイルになりました。

──今作では、そんなサイコパス要素を持つ戸城嵐子を演じるために、菜々緒さんの美貌やスタイルを完全封印した姿が印象でした。

 よく見ていただくとわかるんですけど、嵐子はちょっと男っぽいスーツを着ていたり、男物の靴を履いていたりするんですよ。それなのに、足元はストッキングを合わせていて、そこは女性らしさがある。なんか不思議だなっていう感じがありました。

 そのアンバランスなところや、少し大きすぎる眼鏡なども、ひとつひとつ監督とメイクさんとで相談して、「戸城嵐子」というキャラクターにつながっているので、ご注目いただけたらと思います。

2023.11.29(水)
取材・文=相澤洋美
写真=佐藤 亘
ヘアメイク=浦上祐子(アーツ)
スタイリスト=金順華