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「真のたこ焼きは語れない」

──愛之助さんは大阪の堺ご出身ですが、大阪自慢といえばやはり、映画にも出てきた、たこ焼きや肉まんといった「粉もん」ですか?

 食い道楽の街ですから、食べ物は何より自慢ですよ。大阪はほかのまちに比べて、とにかく食べ物が安くておいしい。これは自信を持って言えます。

 あとは僕の個人的見解になりますが、東京は洗練されていますが、大阪は洗練されすぎていないところがいいですよね。ほどよく都会でほどよく田舎なところに、帰省するたびにいつもほっこりするというか、安心します。

──片岡さんおすすめの大阪グルメも教えてください。

 いっぱいありすぎてどれをおすすめしたらいいのかわかりませんが、基本はやっぱり「粉もん」でしょうね。大阪って、たこ焼き店がたくさんありますが、だし汁に浸った「明石焼き」とだし汁のない「たこ焼き」の違いだけでなく、実は店ごとにそれぞれのたこ焼きの味があるんです。

 生地も違うし、中の具も焼き方も、調味料もそれぞれの店によって少しずつ違う。だから、たまに「大阪でたこ焼き食べたけど、そんなにおいしくなかった」という方がいますけど、1軒食べておいしくなかったら、ぜひ別の店で食べ比べしてほしいです。ひとくくりに「たこ焼き」では真のたこ焼きは語れないので、他府県の方には、もっとたこ焼きの違いを知っていただきたいですね。

──たこ焼きは「大阪」と「それ以外」で区別するものだと思っていました。では、住む場所や出身地に対しても、映画のようなこだわりは少ないのでしょうか?

 大阪の人は、そこまで気にしていないのではと思います。僕は大阪の堺市出身ですけど、別にそれを自慢しようとも隠そうとも思ったことがないですからね。強いて言えば、だんじり祭がある岸和田は、こだわる方が多いかも、というくらいでしょうか。

 今作の『翔んで埼玉』では、埼玉県内の位置によって東京に近い・遠いと主張するシーンがありましたけど、僕ら関西人からしたら千葉県も埼玉県も東京もざっくり「関東」なので、どっちでもいいと思います(笑)。

2023.11.21(火)
文=相澤洋美
写真=橋本篤
メイク=青木満寿子
ヘア=川田舞
スタイリング=九(Yolken)