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弱さを認めることには抵抗がない

――忙しく生きる毎日、なんとなくこなしてしまうこともあると思います。

 そういう時は、こなしていることを自覚しますね。将棋では「手拍子で打つ」と言ったりするんですけど、僕も手拍子でポンポンと会話してしまうこともありますし、それこそ業務でもシステマチックにやってしまうことはあります。先輩と話すときの相槌として、「なるほど。マジですか。確かに」の3つはよく言っている自覚があります(笑)。ただそう言っているときは、とりあえず相手の意見を受け入れるため噛み砕いている最中ではあるんですけどね。

――アイゼン役の上田さんにアドバイスをお願いした話もそうですが、周りの意見を積極的に取り入れたり、周りにどんどん頼ることが多いのでしょうか。

 基本的に僕は頼るタイプだと思います。社長をやっていますけど、俺についてこいタイプではなく、「助けてください」と言うほう。ファンの方たちにはよく、「ライブで歌うの大変だから助けて」「イベントで僕が出たらキャーって言って盛り上げて」って言っちゃってます。「SNSはとにかくいいねを押すかリプライして」とか(笑)。

 自分の弱さを認めることに全然抵抗がないんです。人間って誰しも弱い。それ以外は強がっている人か、他人に無関心な人ぐらいですよね。自分の力には限界があるけど、2人、3人と集まったら個々の力は足し算ではなく掛け算で大きくなる。一人では奇跡は起こせないんだから、僕はいい意味でも悪い意味でも、あまり自分のことを信じていないんです。

2023.09.29(金)
文=大曲智子
写真=鈴木七絵