1994年から1999年まで「週刊少年ジャンプ」で連載され、後にTVアニメ化、そして実写映画化され大ヒットするなど多くの人に長く愛されてきたマンガ「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」。今年、新たに生まれたアニメが現在フジテレビ“ノイタミナ”他にて放送中だ。

 幕末に「人斬り抜刀斎」と恐れられるも明治維新後は「不殺(ころさず)」を誓い、弱き者のために剣を教えていた緋村剣心。そんな彼の前に現れたのが、元御庭番衆の御頭である四乃森蒼紫。アニメでも剣心にとって最大の敵のひとりとして登場する蒼紫を演じるのは、声優の内田雄馬さん。威圧感のある蒼紫をどのように捉えて演じているのだろうか。


蒼紫は自分には合わないんじゃないかと

――「るろうに剣心」のオーディションの話が来たときからとても嬉しかったそうですね。

 僕が子どもの頃から「るろうに剣心」はすでに大人気作品だったので、僕も名前は知っていました。実写の映画にもなっていますし、すごく愛されている作品なんだと実感していた中でのオーディションだったので、参加できることが嬉しかったですね。

――中でも四乃森蒼紫はとても人気のあるキャラクターです。

 お聞きしました。実は、蒼紫がすごく人気のキャラだというのをオーディションの後で知りました。キャラクター設定を見て、等身が高くて非常に物静かなイメージだと感じました。ということは声にも重たさがあったほうがいいのかな、と。だから自分には合わないんじゃないかと感じていました。

 テープオーディションだったので3、4役ぐらいを演じて送ったのですが、蒼紫に関してはチャレンジする気持ちでやりました。僕は普段、役に合わせて声を作るということはしないのですが、蒼紫の等身に合わせて声を調整して。きっと別の人になるだろうなと思っていたので、「蒼紫役に決まりました」と聞いた時は本当に驚きましたね。

――四乃森蒼紫というキャラクターをどう捉えていますか?

 明確な目的があり、そのために戦っている人です。御庭番衆という旧幕府の隠密集団で、「御庭番衆こそが最強である」という思いを強く持っている人ですね。感情を表に出さないし口数も少ないんですが、家族のように思っている御庭番衆のためだけに戦い続けている。ある種の人情のようなものが蒼紫の魅力だと思いますね。

 蒼紫はこう見えてまだ若いので、内面にはどこか若さを感じます。誰しも若い時期はあって、経験を経て大きくなっていくもの。蒼紫にこれからどういう変化があるのか、そういったことをしっかり見ていただきたいですし、僕もそのあたりを丁寧に演じていきたいです。

2023.09.28(木)
文=大曲智子
写真=釜谷洋史