この記事の連載
基本のうつわが揃った後の買い足し方
シンプルな丸皿、ボウルとそろったら、次はちょっとデザインのあるものはどうでしょうか。小倉夏樹さんの作られる磁器は「しのぎ」が施されています。手でひとつずつ縞(しま)の模様がつけられているのですが、食卓のアクセントになるというか、ニュアンスが生まれるんですね。このうつわは、繊細で涼やかな印象が食卓に加わります。
このふたつはどちらも飯碗ですが、小倉さんの作られるものはデザート用や、小鉢として使うのにも適していますよ。基本的な食器がそろったら、デザイン性のある好みのものを少しずつ見つけて足していかれると、食卓がどんどん豊かで楽しいものになると思います。
ささやかなデザインが豊かなニュアンスを生んでくれるんです。たとえばこの宮内太志さんのオーバルやコップは、縁(ふち)の茶色があることでグッと全体が締まって、いいアクセントになっていますよね。クリームがかった白色に温かみがあって、とても表情が豊か。のせる料理を選びません。
私が家で最もよく使っているのが、このうつわです。富井貴志さんの漆(うるし)のうつわ、持ってみてください。軽いでしょう? 白漆を何度もかけて作られていて、色合いが絶妙で、使いやすくて。大好きなんですよ。パスタ皿として、朝食のワンプレート用として、登場回数がとっても多いんです。
お気に入りの一枚があると生活がとても楽しくなりますよ。ぜひ、みなさんもお気に入りを探しにいらしてください。
KOHORO
所在地 東京都世田谷区玉川3-12-11 1F
電話番号 03-5717-9401
営業時間 11:00~19:00
営業日、営業時間は変更あり。HPで確認を
https://kohoro.jp/
白央篤司
フードライター。「暮らしと食」をテーマに、忙しい現代人のための手軽な食生活のととのえ方、より気楽な調理アプローチに関する記事を執筆する。近著に『台所をひらく 料理の「こうあるべき」から自分をほどくヒント集』(大和書房)がある。
https://www.instagram.com/hakuo416/
Column
うつわのある暮らし
食を彩る素敵なうつわとともに日々を過ごす。憧れるけどなにから始めたら? フードライターの白央篤司さんが、「うつわのある暮らし」を始めるヒントを探りに、うつわの専門家を訪ねました。
2023.08.13(日)
文=白央篤司
撮影=平松市聖