堀北真希と松田龍平の見たことのない化学反応

――とはいえ、撮っている映画のテーマがテーマですからね。

 スタッフのみんなに心配かけちゃいけないから、母親のことを思い出さないようにしようという感覚をどうしても持つじゃないですか。でも、こういう母と子のテーマの話を撮っているわけだから、ヒロインの感情を知るためには自分の母親のことを思い出そうという感覚も出てくるわけですよ。そのスイッチのオン・オフは、確かに大変でしたね。

――これまでヒロインを演じる女優さんの新たな魅力を引き出してきた吉田監督ですが、今回堀北真希さんを起用したことで、彼女をどのように撮ろうというヴィジョンはあったんですか?

 とにかく、なんか近所にいそうな感じの女のコにしたかったですね。これまで彼女が出演してきた作品って、ある種、俺とはちょっと違った世界観のものが多かったと思うんですよ。彼女のお芝居のやり方も、近所にいそうな感じのものはなかったんですね。とはいえ、いざ撮り始めてみると、彼女は綺麗で華があるから、どこまで普通の女のコになってもらうかの加減が難しかったですね。

――堀北さんの兄役には、監督が照明として参加した塚本晋也監督作品『悪夢探偵』で主演を務めていた松田龍平を起用していますが、その狙いは?

 龍平くんとは自分の映画で一回組んでみたいと思っていたし、「まほろ駅前番外地」や「探偵はBARにいる」などで見せた脱力系キャラが巧いなと思っていたんですね。それで、独特な雰囲気を持つ堀北さんに龍平くんを合わせることで、見たことのない化学反応が出て、面白くなるだろうなって。

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2013.12.21(土)
text:Hibiki Kurei
photographs:Mami Yamada