クイズで識る、感性で楽しむ『日本振袖始』

 歌舞伎一般の解説が一段落すると、話題はこの後に上演される『日本振袖始』の内容へと移行。クイズでは客席に降りて虎之介さん自身も回答者として参加し、観客との対話を楽しみます。場内はすっかり打ち解けた雰囲気となり、25分の解説の時間はあっという間に過ぎていきました。

 20分の休憩を挟んでいよいよ『日本振袖始』の開幕です。主人公の岩長姫実ハ八岐大蛇を演じるのは、虎之介さんのお父様である中村扇雀さん。生贄にされた稲田姫を助け八岐大蛇を退治するのが、虎之介さん演じる素戔嗚尊です。先ほどまでの解説で見せた親しみやすい雰囲気はどこへやら、凛々しい姿で花道から登場する虎之介さんの変身ぶりに注目です。

 詳しい内容は劇場での解説と無料配布されるプログラムに譲ることとして、『日本振袖始』の面白さや注目のポイントについて虎之介さんに尋ねてみました。

「最初はお姫様で登場した人物が後にまるで異なる姿となります。こうした展開は歌舞伎ではよくあるのですが、その違いや“八岐大蛇”としての実体をどのように表現するかにご注目ください。隈取や衣裳、立廻りなど非常に華やかな、おそらく多くの皆さんがイメージする歌舞伎の要素が詰まった演目ですので、歌舞伎をご覧になったことのない方におすすめの演目だと思います。最初から全部を理解しようとせずに、ビジュアルや音、目の前で生身の人間が演じている様子を頭ではなく感性で楽しんでいただければと思います。」

 国立劇場では、6,7月に「鑑賞教室」を開催してきましたが、秋に建替えを控えているため現在の劇場では今夏が最後となります。奈良東大寺正倉院の校倉造りを模して建てられた外観や、ロビーに展示されている数々の名画を目にすることができる期間はあとわずか。ぜひ、この機会に訪れてみてはいかがでしょうか。

6月歌舞伎鑑賞教室『日本振袖始―八岐大蛇と素戔嗚尊―』

公演期間:2023年6月2日(金)~2023年6月24日(土) ※7日(水)、15日(木)は休演
演目:解説 歌舞伎のみかた/日本振袖始 一幕 ―八岐大蛇と素戔嗚尊―(にほんふりそではじめ-やまたのおろちとすさのおのみこと-)
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2023/230561.html