日本を代表するプロレス界のスターでありながら、プロレスというリングの外でも国会議員などとして活躍をしたアントニオ猪木さんが2022年10月1日に亡くなっておよそ半年。
アントニオ猪木さんと倍賞美津子さんとの娘として生まれた猪木寛子さんが、初めてロングインタビューに応じてくれました。娘の寛子さんから見た、偉大なるアントニオ猪木、そして素顔の父・猪木寛至さんについて語ります。
アントニオ猪木の技とかは全然わからない
――寛子さんは、レスラーとしてのお父さまの姿をどうご覧になっていましたか。
私、試合をほとんど見たことがないんです。格闘技に興味もなかったし、あまり見たいとも思わなかった。
――では、アントニオ猪木の技で何が一番好きかと訊かれても……。
はい、わからないんです。
――リング上は、ある意味でお父さまが一番、生命を燃やしている場所だったと思います。
パパの生きがいはそこにあったのかもしれませんね。
もし私が「パパ、家にいて」というようなことを言っていたら、私はパパを“人間として殺していた”かもしれません。
こういうことが言えるのは、パパが亡くなってからから、いろんな人からアントニオ猪木の思い出を聞いて気付かされたのかもしれないです。お父さんらしいことは何もしてもらえなかったので、ある意味で“最低”だけど“最高”のパパだったなと思います。
2023.04.03(月)
文=児玉也一
写真=末永裕樹(寛子さんポートレート)