――プロデューサー視点ですね。前回「コントの日」でインタビューした時も、最近は制作者視点になるというお話をされていました。

ひとり まあね。そういう年齢になってきたのかもしれない。そう考えると僕は「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」っていう番組をやってるけど、あそこにダウ90000が来るイメージは想像つかないよなぁ。8人で回答者席か、とか思っちゃう。別にタレントになりたかねえや、っていうスタンスなのかもしれないけど。職人であり続けたいっていう。それにしたって8人ですからね。ギャラも8等分って考えるとね……。

――ひとりさんと真逆ですね。

ひとり そうです、そうです。僕が今、自分の給料8等分って考えると、なかなか恐ろしいんでね(笑)。地方の営業にダウ90000を呼んだら、ホテルの部屋数もいっぱい取らなきゃいけないよな。アゴアシが結構出るよね(笑)。

――もしひとりさんがダウ90000を呼ぶとしたら、どういう番組がいいなと思いますか?

ひとり そうですね。きっとこの番組が一番ダウ90000には合ってると思います。自分たちの主戦場だから。確かにダウ90000だけだとまだ世間的な認知度はないかもしれないから、毎週いろんなゲストが来て、そこでいろんな化学反応が起きたらすごくいいことだと思いますよね。決して派手なコントじゃないからね。

 

――どちらかといえば、日常の一コマ。

ひとり そう。かぶりものしてドタバタ騒ぐような感じじゃないから、それをやらせてくれるのって今NHKぐらいしかないんでね。そういう落ち着いたコントを録らせてくれるのは。だから、ダウ90000はこの番組をすごく大事にしたほうがいいと思います。

劇団ひとりが出てきた頃の「異物感」

――ところで劇団ひとりさんはどうして「劇団」を名乗ったんでしょうか。

ひとり 僕はネタでいろんなキャラクターを演じてたんですよ。それを一応劇団員ということにして、劇団ひとり。でもまあ、結果的には響きのよさですかね。「劇団ひとり」っていうワードがパッと出てきた時に、気持ちいいゴロだなと思ってね。

2023.04.03(月)
文=西澤千央
撮影=榎本麻美/文藝春秋