太田 光さんにとって、11年ぶりの新作となるコメディ小説『笑って人類!』。映画の脚本としてスタートした今作では、小道具の扱い方も映画の美術を意識していたそう。太田さんに、制作の裏話と今後の作品づくりについて伺います。(インタビュー【前篇】を読む)
小説の最初の読者は、タイタンの太田光代社長
――爆笑問題のネタは、複数の作家さんと考えるそうですが、小説もどなたかの意見を取り入れたりしているんですか?
太田 小説や脚本なんかは仕事の合間に一人で書いていますね。映画の脚本として書いた時は、俺が書いたものを週に一度、スタッフのところに持っていって意見を言い合ったりしたけど。
――書き上げた作品の最初の読者は、どなたなんですか?
太田 社長(妻の太田光代)ですね。今作は映画の脚本の時に一度見せて、「面白いじゃない」って言われて。それはすごくうれしかった。小説として書き直した後は社長に預けて、どこの出版社から出すか判断してもらいましたね。
――では、社長さんが幻冬舎からの出版を決めたんですね。小説に対して編集担当者から調整が入った部分はあるんですか?
太田 ほとんどないけど、時系列がね。ほら、俺は計算が苦手で、大学も裏口(※)だからさ(笑)。作品は場面転換が多い分、歴史とか時間経過も複雑で。何日経つかとか、そういう校閲的な部分を相談したね。
※2018年、『週刊新潮』(新潮社)が「太田 光は日本大学芸術学部に裏口入学した」と報道。太田 光は名誉を傷つけられたとして損害賠償などを求め訴訟。2021年に勝訴した。
2023.03.08(水)
文=ゆきどっぐ
撮影=榎本麻美/文藝春秋
スタイリスト=植田雅恵