「若気の至り」は何も得しない

――若気とはそういうものですよね……。

ひとり 今思えば、あれでやりづらくなってる部分もあったと思うんだよね。やっぱり楽屋に行って「何もできないんですけど、すいません、お願いします」とかって言ったら、やっぱり周りは変わるよね。人だからね。それやって損はないもんね。

――それが90年代の芸人界という感じもします。

ひとり そう。でも、それは何も得しないよね。あれは本当に若気の至りなんです。頭なんて下げてもタダなんだしね。何も悪いことないの。心なんて込めなくたっていいんだから。愛想笑いして「どうも、お願いします」って言うだけで、自分がやりやすくなるのにね。なんで若い時はあれができなかったのかなと思いますけどね。

――全国のフレッシャーズに聞いてほしい話。

ひとり ほんとそうよ。こんな安いものないんだから。いやわかんないな蓮見くん、好青年で、育ちよさそうに見えて、裏でメンバーにめっちゃ厳しいとかあるかもしれないけどね(笑)。

撮影=榎本麻美/文藝春秋

ダウ90000蓮見翔が語る「実力で出てきた集団ではない怖さ」、お笑い感度の高い人に「持ち上げられる居心地の悪さ」 へ続く

2023.04.03(月)
文=西澤千央
撮影=榎本麻美/文藝春秋