舞台を中心に、ドラマや映画など役者として活躍する橘 花梨。デビュー10周年を機に2018年に立ち上げたソロプロジェクト「カリンカ」では、自ら企画・プロデュース・出演を行うなど、活動の幅を広げている。
そのカリンカの第3回目となる公演「日記」が2月22日(水)~28日(火)まで、東京・下北沢のOFF・OFFシアターで上演される。本番を直前に控えた橘に話を聞いた。
ずっと「家族」をテーマにした作品を演ってみたかった
――橘さんのソロプロジェクト・カリンカの第3回目となる今作は「家族」をテーマにしたと伺いました。
実は、ずっと家族というテーマで公演をしたいと思っていて。第2回の時にもやりたいなとは思っていたので、長年温めていた主題なんです。姉弟とか、親子とか、人それぞれかもしれないけど、どんな人にも“家族のカタチ”はありますよね。
恋愛だと価値観が分かれてしまったり、そもそも恋愛に関心がない、という人がいるかもしれないけど、家族についての話は共感する部分がきっと見つかると思うし、そうでなかったとしても、自分と照らし合わせることができるから、演劇を観たことない人にも、見てもらいやすいかなと思って。
――脚本・演出には劇団普通の石黒麻衣さんが名を連ねています。石黒さんに頼んだ理由を教えてください。
石黒さんの舞台に以前から憧れていたんです。劇団普通という名前でやられていますが、石黒さんの舞台は本当に“普通”が描かれているんですよ。
家族というテーマを考えた時に、私は自分自身の親を、姉弟を、そして愛する人を真っ先に想い描きましたし、私のこれまでの生活を振り返りました。そこには特別な出来事があったわけではなくて。自然な、なおかつ確かな“生活”をしっかりと描いてくださる方にお願いしたいと思っていました。そういう意味で石黒さんはぴったりでしたね。
――タイトルは生活を綴ったものである「日記」。そこにも日々の生活の確かさが意図されているように感じます。
タイトルは石黒さんにつけていただいたんです。石黒さんは「既に過去の生活となりつつある家族の情景とその生活の細部に宿る心を懐かしみ、記録するような気持ちで作りました」と仰ってましたが、そんな普通の日々を自分と重ね合わせるように観ていただくことができるのかなと思います。
2023.02.19(日)
文=CREA編集部
写真=今井知佑