丁寧な説明を受けながら、建物の中を案内してもらう。廊下も小学校の名残が感じられる。
写真のスイートはもともと図書室だった部屋ということもあり、広々とした空間が広がる。南側の窓には校庭と観音下石切り場の絶景が、北側の窓から田園風景が一望できて、なんとも心地よい。
スイートルームに用意されているのは農口尚彦研究所の日本酒、ビール、ウイスキー、ジン 、ウォッカ、サイダー、ジンジャーエール、フルーツジュース、紅茶、加賀棒茶、炭酸水など多種多様。モダンに改装された贅沢空間で、ゆったりと好みの飲み物を楽しみながら、のどかな風景を眺める……。かけがえのない時間になるのは間違いないだろう。
続けて案内してもらったのがジュニアスイートだ。スイートルームに負けず劣らずの広さを誇るジュニアスイートは、教室1クラスを丸ごとコンバージョンしたお部屋。
壁には黒板を活かした、映像が投影できるスクリーンがある。
Bluetoothでプロジェクターに接続できるため、動画配信サイトなどの映像を投影して楽しめる。自然豊かな環境でありながらも、一人ひとりにあった楽しみ方のできるお部屋というわけだ。
そして、最もリーズナブルな価格で宿泊できるのが、このスタンダード。カーテンは、石川県名物である丸八製茶による加賀棒茶の製造工程で発生する廃棄食材を原料に染色したものだという。やさしい色合いについ心が和らぐ。
一部の部屋は隣接する部屋とのコネクティングが可能なので、さまざまな利用方法が想定できる。
廃校を活用した宿泊施設というと、“校舎そのものを活かしたノスタルジックな雰囲気を売りにしているものだ”という先入観をどこかに持っていたが、部屋の写真からも一目瞭然、Auberge “eaufeu”はそんなイメージを良い意味でどんどんと裏切ってくる。
しかし、私はまだ気づいていなかった。さらなる裏切りがこの後に待ち構えていることを……。
2023.01.21(土)
文=「文春オンライン」編集部