仕事や家族のことなど人生には悩みが尽きないもの。

 そこで年間100冊、ジャンルレスに本を読むお笑い芸人のラランド・ニシダさんが、お悩み解決のヒントになるブックギフトをセレクト。

 全フロアを熟知する、ジュンク堂書店 池袋本店で吟味した本とは?

ジュンク堂書店 池袋本店

所在地 東京都豊島区南池袋2-15-5
電話番号 03-5956-6111
営業時間 10:00~22:00
定休日 無休


読み手の想像力が広がるのがブックギフトのいいところ

 昔から本が好きで、海外で暮らしていた小さいころ、よく図書館に入り浸っていました。読むのは年間100冊くらい。小説が好きなんですけど、生物学、医学、社会学など、なんでも読みます。書店には月2回くらい、仕事帰りや休みの日に行きます。思いもよらないジャンルで、気になる本を見つけられるのが楽しいんですよね。

 本のよさって、自分の意思で読み進められるところにあると思うんです。音楽や映画って一度スタートしてしまうと、勝手に進んでいくじゃないですか。落ち込んでるときって、そのスピードにもついていけなくなるけど、本は自分でページを進めることも、やめることもできる。しかも、文章から自分なりの想像ができる。受け取る側に委ねられているところが好きですね。僕、同じ大学を2回退学しているんですけど、1回目に退学したとき、結構落ち込んで……。当時、大学の図書館に入ることは許されていたので、小説家の全集を片っ端から読んでました。

 そのなかで夢中になったのが太宰治の『畜犬談』。犬が嫌いな主人公が変に、自分に懐いた犬に毒を盛るんです。けど、犬には毒が効かなくて、「弱いものを守るのが芸術家の仕事だ」と、主人公がかっこつける話が面白くて。

 本に救われてきた僕なりに、お悩みに対し少しでも役に立てたらと、今回本を選びました。実をいうと、誰かに本を贈ったことはないんです。だって、本を贈るって相手のことを真剣に考えないとできないもの。だから、めちゃくちゃ真面目に探しました。

2022.12.29(木)
Text=Aki Takamoto
Photographs=Kiichi Matsumoto

CREA 2023年冬号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

100年超えの名品から、最旬SDGsアイテムまで贈りものバイブル

CREA 2023年冬号

100年超えの名品から、最旬SDGsアイテムまで贈りものバイブル

特別定価960円

「CREA」2023年冬号は「贈りものバイブル」です。大切だからこそしばらく会えなかったあの人に、一年間頑張った自分に、贈りたいのはやっぱりいいもの――時を越えて愛される名品の数々です。2023年、文藝春秋は100周年を迎えます。そこで今回は、100年以上続く老舗の名店や、未来へと伝えたい価値観を掲げる新店などから、選りすぐりのギフトをご紹介。あなたのホリデーシーズンが、最高にハッピーなものになりますように!