この記事の連載

◆『風太郎不戦日記』山田風太郎 原作/勝田 文 作画

日本が敗戦した昭和20年を描く

 召集を見送られた山田の、若者らしい愛国心と生活者としての本音が赤裸々に。物資が乏しかろうと、敗戦で価値観ががらりと変わろうと、できるだけの変わらぬ日常を送ろうとする庶民の姿に、生の泣き笑いがにじむ。

『風太郎不戦日記』山田風太郎 原作/勝田 文 作画

講談社 704〜748円 全3巻

◆『石の花』坂口 尚

旧ユーゴスラビアの人民解放戦線

 少年クリロはパルチザン部隊に参加しながら、少女フィーは強制収容所に収監されながら、戦争やレジスタンスや民族浄化という名目があっても、人の命や権利を奪う暴力性へのアンチテーゼを抱き続けた。気高さに胸打たれる。

『石の花』坂口 尚

KADOKAWA 1,870〜2,310円 全5巻

三浦天紗子(みうら・あさこ)
ライター・ブックカウンセラー

「an・an」「CREA」をはじめとした女性誌や、文芸誌などで書評やインタビューを担当。著書に『震災離婚』(イースト・プレス)など。趣味はベリーダンス。

◆『あれよ星屑』山田参助

 敗戦から一年あまりの東京。闇市で雑炊屋を営む川島は、軍隊時代の部下である黒田と再会する。

「戦争によって失われた尊厳はその後も失われ続けるという、恐ろしさと悲しみがすぐ目の前まで迫ってきます」(鶴谷さん)

『あれよ星屑』山田参助

KADOKAWA 704〜748円 全7巻

鶴谷香央理(つるたに・かおり)
マンガ家

『おおきな台所」でデビューし、同作で第52回ちばてつや賞準大賞を受賞。初の単行本『メタモルフォーゼの縁側』(KADOKAWA)でも数多くの賞を受賞している。

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CREA夜ふかしマンガ大賞
10位~1位までを発表!

2022.10.20(木)
Text=Asako Miura

CREA 2022年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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特別定価930円

「CREA」2022年秋号は「夜ふかしマンガ」特集です。慌ただしい日々を過ごしていると、眠りにつく前のひと時くらい、すべてを忘れてマンガの世界に没頭したくなりますよね。そこで、時代をあぶりだす社会派から、大人の胸キュン、話題の新人作品まで、ぜひ読んで欲しい名作を集めた「夜ふかしマンガ大賞」をお届けします! 今年最注目の第一位は――!?