磯の香り漂うイソギンチャクを召し上がれ
夜8時。開店したばかりの店内はガラガラ。スペインで8時はまだ宵の口だ。日本人的には混雑する前に食事を済ませられるので、理想的な展開。店内はとってもクリーンで、なんだかパリっとしてる。「整理整頓」の張り紙でもしてそうなほど、よくあるバルとは雰囲気が異なる。
右:ぷりっぷりで甘いエビ。塩もいいけど、お醤油が欲しくなるネ
2週間に1度は散髪してる感じのこざっぱりとした店主に、お薦めタパを頼み、そしてもちろん……イソギンチャクも注文。ガーリックのきいたホタルイカのソテーやらジューシーな唐辛子やらを頬張っていると、遂に登場! イソギンチャクである。
幸いフリットなので、脳裏から離れなかったゆらゆら触手のイソギンチャクを目にすることはなかったのだが……かなりドギマギしながら、まず匂いをクンクン。けっこう磯臭い。が、隣のやはりグルマン編集者は気にする様子ナシ。
イソギンチャク・フリットを半分にして、思い切って口に放り込むと……なんかなぁ~牡蠣に近いテイスト。味も食感も、磯臭い弾力のある牡蠣だ。とまぁ、やや拍子抜けながらの初イソギンチャク体験だった。
この後、西の港街カディスでは、プランクトンの料理なぞも取材して……つくづくスペイン人のマニアックな魚介好きを思い知ったのだが、その後、イソギンチャクはマルセイユで食べたことがあるとか、有明海では天ぷらにして食べるなどの情報もありで、ゲテモノっ食いはスペイン人だけではなかった。あはは。
ちなみに、食べたイソギンチャクにはゆらゆら触手はない種類のよう。でも、いくら聞いてもらっても、イソギンチャクとしか名前は分からなかったのだった。
バルFM
所在地 Carretera Jaén 54, 18013 Granada, Spain
電話番号 +34-958-157-004
Column
トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!
2013.10.15(火)
text & photographs:Satsuki Osawa