差し出された自家製梅シロップのソーダ割りを前にして、「昔から作り続けているんですか?」と訊くと、「違うの。YouTubeで作り方を見ながら、今年初めて作ったんです。そうしたらおいしかった」とほほ笑みながら打ち明ける。

 YouTubeを使いこなす多良美智子さんは、今から2年前、85歳でYouTuberデビューを果たした、“ユーチュー婆”。老後のひとり暮らしの日常を切り取った『Earthおばあちゃんねる』の登録者数は12万人を超え、一番人気の動画にいたっては200万回再生を超えるほど。今年3月には、『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』を上梓した。

 老いてますます盛んなり。希望に満ちた老後のひとり暮らし、その極意とは――。(全2回の1回目/後編へ続く)

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85歳でYouTuberデビューした理由

――85歳でYouTuberデビュー。なぜ始めようと思ったのでしょうか?

多良 私が今まで作ってきた手芸などの作品は、私が死んだら灰になってしまう。それはちょっと残念だなと。映像にして残しておいたら、家族もときどきは見てくれるかなという気持ちがあって。それを当時中学生だった孫に話すと、彼も自分でYouTubeをしていたものですから、「じゃあ撮ってあげる」と。それで撮ってもらうようになり、動画を公開するようになったのです。

――お孫さんであるあーす君が撮影・編集を担当する共同企画だから『Earthおばあちゃんねる』なんですよね。

多良 そうなんです。孫がいなければ、YouTubeも撮らなかったし、見方も知りませんし、スマートテレビも使いこなせなかったでしょう。長男にすすめられ、新型コロナウィルス給付金の10万円でスマートテレビに買い替えたのですが、孫が使い方を教えてくれて。「こんな便利なものがあったなんて!」と驚いてしまいました。今まで全然知らなかった世界が、急に目の前に広がったみたいな感じです。

2022.09.18(日)
文=我妻 弘崇