私は絵が上手ではないのですが、絵手紙教室が気になり、「私みたいに何も描けない人でも入っていいんでしょうか?」と問い合わせたら、「どうぞ、見学に来てください」って。それで見学に行ったら、先生も良い方で、とてもいい雰囲気だった。数十年前の話で、その先生ももう教室をやめてしまったのですが、絵手紙は趣味でずっと続けています。
実は最近、その先生がYouTubeで私のチャンネルを見てお手紙をくださって。うれしかったですねえ。
――たまたまその先生が、『Earthおばあちゃんねる』を見たんですか?
多良 そうみたい。「今でも絵手紙を続けてくれてありがとう」と書いてありました。本当にうれしくて。すぐお返事を書きました。教室がなくなったのはもう20年も前のことなのに。私の住所をまだ持ってくださっていたのだと感激しました。
――本来あるべきインターネットの素敵な使い方ですね。
多良 その先生以外にも、もう何十年も連絡が途絶えていた友だちからお電話やお手紙をもらったりするんです。
――多良さんの世代にも、YouTubeが浸透していることも窺えますね。
多良 そう思います。自分から周囲の人に、YouTubeをしていることはわざわざ言いませんけど。でも、少しずつバレていっていますね(笑)。長年通っている高齢者コミュニティで、「YouTube見たわよ!」と声をかけられることも増えました。先日は、よく行くスーパーのレジのおねえさんに、「YouTube見てます。白和え作りました」と耳元でささやかれました(笑)。
今が充実していれば、後ろを振り返っている暇はありません
――歳を重ねてくると、なかなかモチベーションを上げることが難しくなってくると思います。多良さんはどうしてそんなにチャレンジできるんですか?
多良 何でもやってみたいんですよね。さっき言ったように、できないものはさっさとあきらめますけど、できそうなものはやってみたいんです。今が充実していれば、後ろを振り返っている暇はありません。コロナによって行動制限が敷かれましたけど、もともと一人が好きな私は、自分の時間がたくさん増えて幸せ。本を読む時間が増えた!って。そして、好きなものに囲まれた、この団地の部屋。こだわりが詰まっている、まさしく自分のお城。その中だから、何時間でも飽きずに過ごせます。
2022.09.18(日)
文=我妻 弘崇