古川雄大が二役に挑戦！
五感を揺さぶる朗読劇「バイオーム」
“表現の可能性を広げていきたい”

CULTURE

2022.6.7

感情で演じようとしても追いつかない役を経験して得たもの。

――近年、映像作品にも多数出演され、さまざまな役を演じられていますね。

　映像と舞台ではまったく違う気がします。何が違うかと聞かれると困るんですけれど(笑)、表現の仕方も違いますしね。映像ではリアルな表現を求められることが多いですから、やはり自分の経験をベースに役作りすることが多くなります。ただ舞台の場合……たとえばミュージカル「エリザベート」のトートだと、“死”という概念なので、自分と共通点を探すのが難しいんです。そういう役ですと、想像力を広げていくことが大切なので、使う筋肉が違うというか……。

――そういう意味で言うと、今回の「バイオーム」も想像力が大切な舞台になりそうですね。

　それこそ「シラノ～」をやったときに、共演の銀(粉蝶)さんに「これは感情でやっちゃダメだよ」って言われたんです。感情で演じようとすると追いつかないから、と。それは演出の谷さんもおっしゃっていたことなんですけれど、じゃあどう演じればいいんだろうって思うじゃないですか。

　でもそこで求められているのは、シーンを説明するというか、役のこの感情を説明するっていう、ある種、俯瞰した演技だったんです。感情を繋げて演じるだけではない見せ方みたいなものが必要な場合もあって、いろんな表現の可能性が無限にあるんだと学べたことが、大きな助けになる気がしています。

――この2年半、生の舞台は苦境に見舞われています。あらためて舞台の魅力をどこに感じていらっしゃいますか。

　やっぱり生じゃないと伝わらないことってあると思います。こういう状況下でも舞台がなくならないのは、その生だから伝わるエネルギーやメッセージがあるということを、多くの方が知っているからだと思います。

　それは舞台に立っていても感じることで、無観客で舞台の映像収録をおこなったときも、普段と同じようにやっているつもりでも、お客さまがいないと感覚が全然違うんです。舞台と客席とで、目に見えない何かを共有し合っていて、それが積み重なることで生まれてくるものがあるんだろうと思います。やはりそこで、キャッチボールがおこなわれているんでしょうね。

「休日は家でひとりキャンプをする動画を見ています」

――6月7日発売のCREAでは温泉特集を、WEBでは「アウトドア」を特集していますが、古川さんは休日どのように過ごされていますか。

　誰かと何かするというより、ひとりで過ごす方が多いです。今、興味があるのがキャンプ。ひとりキャンプをしている方の動画を見ていて、いいなと思って。ひとりで自然の中でお酒とかを飲んで、車中泊するみたいなことをしてみたいな、と。ただ、道具を揃えたりすることを考えると、面倒くさくなっちゃって行けてないんですけれど(笑)。

――都会派か自然派かで言うと……。

　都会派になっていると思います。今、実家で過ごしていた時間と、上京して東京で過ごすようになってからの時間がちょうど同じくらいになってきたと思うんですが、実家に戻ると少し落ち着かない感じがあるんです。でも、都会の人になってしまったのかなって悲しむ自分もいるので、本来は田舎が好きなんだと思います。

古川雄大(ふるかわ・ゆうた)

1987年7月9日生まれ、長野県出身。2007年に俳優デビュー。ミュージカル『テニスの王子様』を経て。’12年にミュージカル『エリザベート』で注目され、以降、ミュージカル『ロミオ＆ジュリエット』、『レディ・ベス』、『タイタニック』、『1789 - バスティーユの恋人たち-』など、数々のミュージカルに出演し、’18年にはミュージカル『モーツァルト！』に主演。舞台と並行して映像作品にも数々出演しており、’20年の連続テレビ小説『エール』で演じた音楽の先生・御手洗清太郎役が大きな話題に。昨年にはドラマ『女の戦争～バチェラー殺人事件～』『私の正しいお兄ちゃん』で主演も務めたほか、現在放送中のドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの？』や、6月公開の映画『極主夫道ザ・シネマ』、7月公開の映画『モエカレはオレンジ色』に出演。また、10月にはミュージカル『エリザベート』も控える。

スペクタクルリーディング「バイオーム」

代々続く政治家一族の一人息子・ルイ(中村勘九郎)は、夜になるとひっそり部屋を抜け出し、庭の大きなクロマツの下でフクロウの声を聴いていた。父に家族を顧みる暇はなく、母・怜子(花總まり)は心のバランスを欠き、花療法士・ともえ(安藤聖)の営む怪しげなセラピーに通う日々。一族の家長としてルイを抑圧する祖父・克人(野添義弘)、婿養子で元官僚の学(成河)、いわくありげな家政婦(麻実れい)とその息子の庭師(古川雄大)ら、さまざまな人間たちの思惑が渦巻くなか、ルイはクロマツの樹の下の声を聴く。

公演期間　2022年6月8日(水)～12日(日)
会場　東京建物Brillia HALL
脚本：上田久美子
演出：一色隆司
出演：中村勘九郎／花總まり／古川雄大／野添義弘／安藤聖／成河／麻実れい
※舞台のライブ配信も決定　
https://www.umegei.com/biome/