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 ミュージカル『ガイズ&ドールズ』でヒロインのサラ・ブラウンを演じる明日海りおさん。相手役の超大物ギャンブラー、スカイ・マスターソンは日本のミュージカル界を牽引する井上芳雄さんが務める。井上さんとは初共演だが、二人はとある縁で繋がっていた。

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二人の“ガイズ”、そして同期・望海風斗とつくる舞台

――二人のガイズの印象は?

 「井上芳雄さんは、宝塚歌劇団時代の仲がいい同期生のお兄さんなんです。その子がいつも、私たちの前でお兄さんに電話をしていたので近い存在のようにも感じていましたし、テレビに出演されているのを拝見して遠い存在であるようにも思っていました。

 今回、お稽古をご一緒させていただくと、次元がすごく違っていたことに気づかされました。技術的にもベテランさんですし、舞台人として感情などの表現の多彩さが圧巻で、人間的にも本当に選ばれた方だと改めて思いました。今までよりも遠ざかった感じがします。でもご本人は冷静で、穏やかで、優しい方なのでご迷惑をおかけしないように一生懸命についていかせていただきます」

――ネイサン・デトロイト役の浦井健治さんにはどんな印象を持っていますか?

「浦井健治さんは私が今までに拝見した舞台のそのままの印象でした。そして本当にお優しい。役作りにおいては、完成させようとするスピードが異様に早いんです。主演クラスの方はそれぞれのペースでいいと思うのですが、浦井さんは台詞を覚え込んでこられて、とっかかりの部分がすごく早いですね。だからコメディーもお上手で、私をすごく引っ張ってくださるので、“私もやらなきゃ!”という気持ちにさせていただいています」

ライバルであり、盟友でもある望海風斗さん

 ミス・アデレイドを演じる望海風斗さんも同じ宝塚歌劇団の89期生。雪組のトップスターとして活躍し、2021年の退団後、確固たるキャリアを積んできた盟友と、同じ作品で同じ舞台に立つことが叶った。

 「望海とは宝塚音楽学校に入学したときに出会って、同室で一緒に暮らしていたんです。その頃が一番ニュートラルな関係だったのですが、その後はお互いがいろんな経験をして、それぞれが頑張ってきた時期がありました。スケジュールが過密な中、舞台が一番大事なので、お互いの体調を心配しあうくらいでしたね。組のことや作品のことに責任を持つ立場にあったので、助け合うことや相談をすることもありましたが、同時にライバルでもあったんです。

 そういう時期を経て、今はここが変わったなあとか、全然変わっていないなという面がそれぞれにあって、すごく面白いです。退団してから2年経ったとはいえ、初めてのカンパニーでは、初対面の方ばかりで年齢的にも先輩が多いので緊張しがちでしたが、今回は望海がいるので、すごく安心できますね。休憩時間なんかに話していると、“こういうふうに思うよね”といった考えや思いを共有できる瞬間があることがとても嬉しいです」

2022.06.05(日)
文=山下シオン
撮影=深野未季
ヘアメイク=山下景子(コール)
スタイリスト=大沼こずえ(eleven.)
衣装協力=ヴァンドームブティック伊勢丹新宿店