フラワーボックスで知られるデンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン。20年以上、日本を拠点に活動するニコライ氏が、2022年4月15日(金)に箱根・強羅にオープンした「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」についてお話を伺いました。

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切り花の寿命は短い。長く残るものを作りたかった

――「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」の構想はいつ頃から考えていたのでしょうか?

 今から8年前ぐらいですね。当時は「箱根に小さな土地を持てたらいいな」ぐらいの軽い気持ちで視察に来たら、「For Sale」と書かれた看板が目に飛び込んで来て。

 普通は日本語なのに英語だったので「これは運命だ!」と感じて、すぐ土地の所有者に会いに行きました。

 すると、この土地を大切に扱ってくれる人を長年探していて、できれば自然が好きな人に譲りたいと聞いて、私が適任だと感じました。それで、約8,500坪の土地を譲っていただいたことがすべての始まりでした。

――箱根を選んだ理由はありますか?

 私の故郷、デンマークには山がありません。なので、昔から山への憧れがあり、東京から1時間ほど車を走らせれば山が見られる箱根は、私にとって特別な場所でした。

 もちろん、ほかの土地も候補にありましたが、箱根に来るといつもわくわくして、ワンダーランドにいるような気持ちになることが大きかったですね。

――ガーデンを作ろうと思ったきっかけを教えてください。

 最初はイベントだけを開催する場所にするつもりでした。それで、5年前からスタッフと一緒に土地の開拓を始めて、箱根の自然に触れていくなかで、少しずつ考えが変わっていきました。

 もともと、私のフラワーデザインは自然からインスピレーションをもらっています。今度はこの大自然をキャンバスにして、さらに違う表現をしてみたいという思いが芽生えました。

――「違う表現」とは具体的にどのようなものでしょうか?

 切り花の寿命はだいたい7~10日ほど。切り花は食材を扱う感覚に近いので、常々、レストランのシェフに通ずるものがあると感じていました。

 新鮮な食材で料理を作り、おいしく食べてもらうのは嬉しいけれど、跡形もなくなってしまう……。

 もちろん、それのよさもありますが、フラワーアーティストとしては、ずっと残るような大作を手がけてみたいという夢がありました。

 この箱根というユニークな土地で自然を最大限に尊重したガーデンを作れたら、自分がいなくなっても永続的に残る可能性を秘めている。

 ある意味、私の集大成であり、リタイアメントプロジェクトとして楽しみながら取り組んでいます。

2022.04.30(土)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=平松市聖