あえて花畑を作らずに、自然の中に作品を置く
――ガーデンのコンセプトを教えてください。
季節はもちろん、自分の気分に合わせて変化を付けられるように、「モバイルガーデン」をコンセプトにしています。
そのため、箱根に自生する植物以外は地植えをせず、ポットやプランターに植えています。
植物の入れ替えや移動がしやすいこともありますが、一番の理由は、箱根の生態を壊さずに、表情豊かなガーデンを作ることができるから。
あえて花畑を作らずに、自然の中に私のフラワーデザインを取り入れて、緑の中にぽつり、ぽつりと色を加えて、自然から目を離さずに作品も楽しめるデザインを心がけました。
――ガーデンを作るうえで苦労した点はありますか?
まず、強羅は富士箱根伊豆国立公園の中にあるので、植物を伐採するのも、建物を造るのも許可が必要で、制限が多いなか、どうすれば自分らしさを表現できるかが大きな課題でした。
そこで、伐採した木を使ってテーブルや椅子を作ったり、園内の落ち葉や石などを利用して、オブジェも自分で作り、5年の歳月をかけてガーデンを手作りしてきました。
もうひとつ大変だったのは、植物が育ちにくいこと。ガーデンは標高600メートルの場所にあり、冬が長いので、植物を育てるには不向きな環境でした。
それならと、ガーデンのアトリエで250鉢のさまざまな植物を育て始めて、5年かけて変化を調べて、強羅に適した植物を地道に探し当てました。
――園内ではどのような過ごし方ができますか?
私のガーデンに順路はありません。気の向くままに歩いて、箱根に生息する植物や花を観察して、疲れたら休む、というように自分のペースで自然と触れ合えます。
また、園内の各所にベンチやパビリオンなどが設置されていて、ゆっくりと自然を味わうことができます。飲食も自由なので、フリーダムとリラックス感を楽しんでもらえると思いますよ。
――チケットを前売り制にした理由を教えてください。
誰もが楽しめる空間を作るのと同時に、この土地と自然の恵みを大切に育んでいきたいという思いがベースにあります。
そのために、イベント時以外は1日3部制、各回定員を50名にして、人にも自然にもストレスがない定員を保っています。空きがあれば当日券も販売しますが、事前に予約することをおすすめします。
何度も訪れたくなる変化のあるガーデンを目指して
――全エリアがオープンするのはいつ頃の予定ですか?
それは私にもわかりません(笑) というのも、約8,500坪の敷地のうち、現時点で3分の1しかオープンしていませんから。
DIYも自分たちでやっているので、自分の生涯をかけて少しずつ開拓していくイメージですね。
取り急ぎ、映画鑑賞や野外ライブができるようなスペースは年内を目標に完成させたいです。
そして9月には、ガーデンの入口前に箱根登山バスの停留所も設置されて、アクセスがぐっと便利になります。
まさか、自分の名前のバスストップができるなんて夢にも思わなかったですが、箱根を盛り上げていけたらいいですね。
――今後、予定しているイベントはありますか?
パビリオンやマーケットプレイスでは、季節に合わせたイベントやワークショップなどを実施する予定です。
なかでも、ハロウィンやクリスマスには、新しいオブジェやアートをお届けできるように準備をしますので、楽しみにしていてくださいね。
――最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします。
忙しい毎日を過ごしているみなさんが、リフレッシュできるようなガーデンとカフェを作りました。
園内はアップダウンがあるので、1周するだけでいいエクササイズになりますよ。
そして、訪れてくださったすべての人が、一度だけでなく何度も足を運び、箱根の自然を、そして箱根を好きになってくれることを心から願っています。
ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ
所在地 神奈川県足柄下郡箱根町強羅1323-119
電話番号 0460-83-9087
開園時間 10:00~17:00、冬季(12~2月)10:00~16:30予定
入園料 大人事前Web予約 1,500円、現地購入 1,800円(クレジットカード・電子マネー決済のみ)
休園日 月曜、年末年始
https://hakonegardens.jp/
2022.04.30(土)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=平松市聖