化粧品は市場に溢れている。じつは家にも溢れている。だからもうこれ以上はいらないと、毎年のように毎月のように思うのに、それでもなお欲しくなる化粧品がある――美容ジャーナリストとして第一線を走り続ける齋藤 薫さんにそう言わしめるのは、一体どんなコスメ? 2022年の新作リキッドファンデーション、part2。

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禅の心、墨をヒントにした「ゼンウェア」って、新しい!

コスメデコルテ「ゼン ウェア フルイド」

 毎朝ほんの数分間でも、自ら墨をすり“写経”を習慣にすると、驚くほど心が整い背筋がぴんとして、なんだか内側から浄化される。そうした禅の心、書の力、墨が作る面や、磨り方による濃淡の美しさまでをヒントにしたファンデーションが出来上がった。

 1000年前に書かれた書が今も鮮やかに残るほど、墨はロングラスティング。またインクにも絵の具にもない繊細な美しさを持ち、精神性までを宿すことができる特別な液体。そこまでをイメージしてメイクすると、これが本当にハッとするほど美しい肌ができあがる。

 リキッドファンデはもう進化しようがないなんて、ごめんなさい。こんな進化のさせ方があったなんて、それ自体に感動。カラーもアジア人の肌をつぶさに見つめた結果の18色。なんとオンラインでも正確な色選びができるスマホ使用のシステムを作っている。リキッドってすばらしいと、改めて思わせられた日本の傑作。

2022.04.30(土)
文=齋藤 薫