「俺の家の話」JYUICHI & JYUGEMU

コメディ&哀愁&感動のバランスが秀逸

 能楽の人間国宝である観山寿三郎(西田敏行)を父に持ちながらプロレスラーになった観山寿一(長瀬智也)。寿三郎が危篤となったことで実家に戻ったことから始まる家族や一番弟子・寿限無(桐谷健太)らとの群像劇。

 親の介護や相続・跡継ぎ問題などシリアスな問題ばかりだが、宮藤官九郎らしいコミカルな脚本でエンタメ性が高い上、自分の家の話を想起せずにはいられない切実なドラマ。

 長州力のセリフも印象的。何度となく名作を生み出した脚本・宮藤官九郎×主演・長瀬智也という最強のタッグによる傑作ともいえる。

selector's comment
枡野浩一さん(歌人・作家)

能楽の人間国宝を父に持ちながらプロレスラーになった主人公・観山寿一と、寿一の父の一番弟子である観山寿限無の関係性に「バディ」を感じ、宮藤官九郎さんの脚本に気持ちよく翻弄されました。宮藤さんは名作ドラマ『淋しいのはお前だけじゃない』のオマージュ的傑作を以前も書いていますが、本作にも同様のオマージュ的要素があり、そこも堪能し、毎週2回ずつ観ていました。

「俺の家の話」DVD-BOX&Blu-ray BOX

発売元:TBS
発売協力:TBSグロウディア
販売元:TCエンタテインメント
©TBSスパークル/TBS

2022.01.04(火)
Text=TV No Sukima
illustrations=Yusuke Saitoh

CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

明日のためのエンタメリスト

CREA 2021年秋号

明日のためのエンタメリスト

特別定価860円

CREA9月発売号は「エンタメ」特集。家に籠る時間が長くなって、あらためて“エンタメ”の力に気づいた人は多いのではないでしょうか。疲れた時こそ、観て、聴いて、読む。心身どっぷり浸ってもいいし、何も考えず笑うだけでもいい。ドラマ、映画、ラジオ、舞台、本、マンガを中心に、明日への活力となるリストをお届けします。