常に謙虚に。周りへの感謝を忘れたくない
約9000人の頂点に輝いた令和のニューヒロイン。きっと彼女にはしばらくそんなキャッチコピーがついてまわることだろう。
TBSスター育成プロジェクト「私が女優になる日_」で1位に輝き、10月スタートのドラマ「この初恋はフィクションです」でドラマ初出演&初主演という華やかなデビューを飾った飯沼愛さん。
だけど、目の前で笑いながらこれまでの歩みを振り返る彼女は、番組内で見せた芯の強さはそのままに、自分に自信がなくて、周りに気を遣いすぎるほど気を遣ってしまう、ごく普通の女の子だった。
でも、そんな普通の女の子だからこそ、私たちは彼女のシンデレラストーリーに惹きつけられるのかもしれない。
彼女の前にあるのは、まだ何色にも染められていない真っ白なキャンバス。ここから飯沼さんは自分の手で自分だけの未来を描き出していく。
(全2回のうち2回目。前編より続く)
一緒に仕事をしたいと思われる人になりたい
――『私が女優になる日_』では、プロの俳優さんと一緒にお芝居をする機会も多くありました。特に印象的だった方はいますか。
小関裕太さんが相手役を演じてくださった回は、別室でリハーサルを何度かやらせもらえる時間があったんです。そこで「どういうプランで考えてきている?」ということを聞いてくださって。
すごく話しやすい雰囲気をつくってくださり、私もいろいろ考えを話せて、「そういう感じなんだ。僕はこうかなと思っているんだけど」とか「じゃあ、こういう感じでいってみようか」とか、しっかり話し合いながらお芝居をつくれたのは貴重な経験でした。
本番前も、別々の位置に待機していたんですけど、セットに入るときに、向こう側に小関さんの姿が見えたんですね。そしたら、頑張れ〜っていう感じで手を振ってくださって。めっちゃいい人だ!と思いました(笑)。
きっと小関さんみたいな方が、一緒にお仕事をしたいなと思われる人なんだろうなと思って。私も小関さんみたいになりたいと思ったし、すごく尊敬しています。
――共に戦い抜いた9人の候補者とのことも聞きたいです。一緒に戦ったメンバーについてどんな想いがありますか。
みんながいたから私も頑張れたという気持ちです。みんなが頑張っている姿を見て、私も奮い立たされたというか。私は本番前、集中したいタイプだったんで、あんまりバトル中は話せなかったんですけど、勝手ながらみんなの存在を心強いなと思っていました。
――普通、オーディション番組って候補者同士の火花散る戦いがつきものなんですけど、そういうバチバチ感がないのも令和っぽいなと思っていました。
カメラがまわっていないところでも、落ち込んでいる人がいたら励まし合ったりもしていて。そこは素敵だなと思いました。
ただ、私自身はどう接していいのかわからないところがあって……。ずっと順位が上の方にいたので、そういう自分から声をかけるのってどう思われるんだろうとか。
そんなこと考えなくていいのかもしれないけど、考えすぎてしまうんですね。それで、ちょっとみんなに声をかけるのをためらってしまうところはありました。気にしぃなんです、すごく。
2021.10.11(月)
文=横川良明
撮影=松本輝一
スタイリスト=木下彩
ヘアメイク=Otama