③「健康」……心身の健康を保つためには?

――防災ポイントの3つ目、「健康」についてはどうでしょう?

 出産後3カ月から半年以内のママはすごく体も疲れていますし、感染症にかかりやすいといった健康リスクがあります。そのうえ、避難生活は異常な状態。さまざまなことが抑圧され、恐怖や不安も加わってきます。

 そうした精神的ストレスからホルモンバランスが乱れ、心身に影響が出てしまうのです。避難生活で増加する疾患としては、膣炎、膀胱炎、皮膚炎、月経トラブル、不眠症、骨盤内感染症、便秘症などがあげられています。

 災害時には、育児支援を行う助産師さんや保健師さんは圧倒的な人手不足になりますが、子連れや産後の方には、特に手厚いケアが必要。自覚症状を感じたら、無理せず「助けて!」とSOSを出すことが大切です。

 また、これまでの出産状況や病歴などを書き出して携帯しておくと、もしものときに慌てず受診することができますよ。

――普段と違う避難所などでは、子どももストレスを感じてしまうと思うのですが、どう接してあげればよいのでしょうか?

 一番はママ自身が心身の健康を保つこと。子どもの気持ちを左右するのは、親の気分や機嫌です。親の機嫌がよければお日様が出ているように感じますし、親がイライラしていたら、どんよりしているように感じるものですから。もちろん、赤ちゃんもそう。

 ママというシェルターが、安定して明るく、穏やかであることが、子どもたちのハッピーの第一条件。そのためには、まず、自分を癒やすものはどんなものなのか、知っておくことです。

 例えば、私は好きな落語の音源をいつも用意していますよ。また、シュッとするだけで気分が変わるアロマミストスプレーなども避難生活では活躍します。見えないだけに後回しになるのがメンタルケア。自分をいたわることをぜひ忘れないでほしいですね。

2021.09.18(土)
文=大嶋律子(Giraffe)