コロナ禍の今だからこそ、シミュレーションを!
――コロナ禍で災害が起きた場合に備えるべきことは何でしょうか?
新型コロナウイルスは新しい感染症ですので、情報は随時変わっていく可能性があります。そのうえ、デマや不確かな情報が出回ることもありますので、できるだけ公的機関の情報を追うようにしましょう。そして、さまざまなケースが考えられますので、ケース別にシミュレーションしておく必要があります。
◆感染していない場合◆
感染していない場合は、とにかく徹底的に感染予防に努めるほかありません。
災害時であっても、避難所での感染が怖いなら、「自宅で避難する」という覚悟を決めてあらかじめ備えておくこと。お湯が沸かせるカセットコンロや非常用トイレなど、ライフラインが止まっても、ある程度は自宅で籠城できるようなアイテムを揃えておくと安心です。
また、やむを得ず避難所に入ることも考え、マスクと消毒薬とうがい薬、さらにお尻拭きのようなものをある程度ストックしておき、避難時に持参することを忘れずに。
避難所では、ドアや手すりなど不特定多数の人がよく手を触れるところ、食事や物品の受け渡し時など、他の人との接点ではきちんと消毒して特に気をつけましょう。自己隔離とプライバシー保護、両方の面で、折りたたみのテントを持っていくのもおすすめです。
◆感染してしまった場合◆
濃厚接触者となっている時や療養期間中に被災した場合は、基本的には在宅療養になります。とはいえ、家庭内での接触は避けたいですよね。そうした場合を想定し、自宅の近くで宿泊できる旅館やホテル、ウィークリーマンションなどを事前に複数探しておくことがポイントになります。
避難所では、おそらくコロナ陽性の方だけを隔離して、陽性者部屋というものを作ると思います。自宅が被災して避難所に入る場合は、自分が陽性者であること、療養期間中で感染させる危険性があることを必ず申し出て、隔離してもらってください。
◆子どもは陰性、自分だけ感染の場合◆
子どもは感染していないけど、自分だけ、あるいは大人だけ感染している場合は、対応が本当に難しいですよね。
基本的に、陰性のお子さんは陽性となった親御さんから離さなければなりませんが、そのお子さんを児童相談所に預けるのか、ご家族の親戚に預けるのか、地元の病院の乳幼児一時預かりを利用するか、保健所で施設を探してもらうのかなどなど、我々医療従事者としても判断は非常に悩ましいんです。
ですので、ママ・パパにはやはり事前に、自分たちが感染した場合に子どもを預かってくれる人や場所を見つけておいてもらえると、とても安心だと思います。
2021.09.18(土)
文=大嶋律子(Giraffe)