持ち出すものは、「1次」「2次」「携帯」で準備

――チェック項目には、「1次」「2次」「携帯」とありますね。どういう意味ですか?

 赤ちゃんのいるママが、通常の避難バッグにプラスしておくとよいアイテムのチェックリストを、避難時に持ち出す「1次」、そのあと家に帰れたら持ち出す「2次」、できればいつも持ち歩きたい「携帯」と分けて考えることをおすすめしています。

 市販の避難キットですと、「うちでは足りない」「いらない」といったモノがあったり、小さなお子さんには合わないモノもあったりしますよね。買ってそのままではなく、一度は使ってみて内容を見直し、足りないモノを補ったりしてオリジナルの避難バッグを完成させると安心です。

◆1次避難バッグの基本は、「持てる」「使える」「助かる」モノを

 1次避難バッグに、最優先に入れるものは、命を守るために必要な母子健康手帳や保険証、普段使っている薬やペットボトルの水などです。次に必要なのは生活必需品。1日の生活を振り返って備えておきましょう。

 授乳中の方でしたら、授乳用ケープ、ガーゼ、赤ちゃんの衣食住に関わるもの。母乳でなかったらミルクを作るためのグッズ。お子さんの年齢ひとつとっても必要なものは異なります。

◆2次避難バッグには、一時帰宅の際に持ち出すモノを

 2次避難バッグは、状況がいったん落ち着き、一時帰宅の安全が確認できてから持ち出す避難バッグです。例えば、オムツ3〜4枚、お尻拭き1個というのは1次に入れておくけど、オムツ1パックごとというのは2次にしようとか、そんな使い分けがよいかもしれません。子どもの癒やしになるようトランプなどの遊びグッズもあると重宝します。

◆携帯用バッグには、外出中の緊急時に命を守るモノを

 緊急時の必要度が高く、常時持ち歩けるものは、ポーチなどにまとめて常に携帯するようにしましょう。私も小さなポーチをカバンの中に入れて持ち歩いています。常に入れているのは、母子健康手帳、健康保険証のコピーやチョコレートなどです。

――リストを見ると、普段ママバッグに入っているアイテムと同じものが多いですね。

 それにプラスして持ち歩きたいのが、ママ自身に必要なモノ。母子という観点でないのですが、私自身が用意しているモノをご紹介します。これをご自身の実情に合わせて置き換え、携帯するとよいと思います。

非常用ポーチに入れるモノ

母子健康手帳・現金(小銭)、運転免許証・保険証のコピー、飴やチョコレートなど小さな携帯用食料、ハンカチ・マスク、ティッシュ・ウエットティッシュ、ナイフ・爪切り・ライト、ボールペン・マジックペン、リップクリーム・ヘアゴム、コンタクトレンズやメガネ、使い捨てカイロ、生理用品、緊急連絡先、スマートフォン・携帯電話用充電器、その他

――いざ持ち出す荷物を考えたとき、子どものモノを優先に考えるママが多いと思います。

 そうなんです、みんなママ自身を後回しにしちゃうんですよ。ついつい、赤ちゃんのモノから揃えてリュックをパンパンにしてしまいがちですが、重量オーバーにならないよう、まずはママ自身が一泊できるモノがあるかを確認してください。

 瑣末なモノと思えるかもしれませんが、ヘアゴムとか鏡とか、見た目を気にする女性ならではのアイテムが実はとても重要なんです。というのも、ママが「あれがない」「これがない」と不自由な環境にいると、余裕がなくなって、赤ちゃんのケアも難しくなるからです。「ママの命と安心・安全をまず大事にしてくださいね」とよくお伝えしています。

2021.09.18(土)
文=大嶋律子(Giraffe)