僕はこれまでずっとファンのみんなに支えられてきたし、これからもそうだと思う
開口一番「なんでも聞いてください」。手元にあったCREAを手に取り、近くにいたスタッフの方を見ながら、「あのスタッフさんが、CREAの大ファンでいつも読んでますよ」と場を和ませる発言をする。8月11日に、「アーティスト活動休止前最後の作品」と銘打った、2枚目になるソロアルバム「THIS IS WHERE WE PROMISE」をリリースする。
今回は、そのタイミングでのインタビュー。彼がどんな思いで、アーティスト活動の休止という決断に至ったのか。シリアスになりそうなインタビューのテーマをものともせず、與さんは終始にこやかだった。(全2回の1回目。後編へ続く)
音楽とはまた違った形の楽しいことを、どんどんシェアしていきたい
――AAAが、昨年末をもって一旦活動を休止しましたが、それぞれのメンバーはソロ活動をして、またいつか再結集するのだろうと思っていました。あらためて、ソロでのアーティスト活動を休止するに至った経緯について伺わせてください。
與 僕がエイベックスに入ったのがまだ中学生だった14歳で、中学を卒業した2日後に上京して、高校からは、親元を離れて生活することになりました。16歳でAAAとしてデビューして16年。今年の11月で33歳になります。人生の約半分をAAAの與真司郎として生きてきたので、ソロでの音楽活動も、AAAがあったからこそ、と思っていた。
だからずっと、「ソロでここまで行きたい」「ソロではこうしたい」ってことを明確に想像できなかった。もちろん、ファンの皆さんの前でパフォーマンスすることは、すごく楽しいし、自分の人生になくてはならないことではあるけれど、僕のアーティストとしてのスタートでありホームはAAAで、帰る場所があってのソロ活動だったので……。
AAAでは、みんなで力を合わせることで、ライブ会場が少しずつ大きくなっていったり、「AAAの楽曲に支えられた」と言われたりして、自分たちが力をつけている実感もあって、その過程がすごく楽しかった。でも、そのAAAでの活動が一旦休止になるとなったとき、帰る場所を失った僕は、それならAAAというグループが復活するまで、ソロ活動も休止しようって思ったんです。
――ソロデビューが2016年で、その後、18年にアルバムをリリースして、翌年にアリーナ規模での東京・大阪でのライブも成功させています。それでも、ソロとしての目標は生まれなかった?
與 他のメンバーはソロ活動にも積極的な中で、自分的には、最初にソロデビューをすることになったきっかけも、ファンの方が作ってくださったものでしたからね。
10年ぐらい前から、少しでもファンの皆さんの近くにいたいと思い、AAAのツアーの合間にトークショーで全国を回っていたんですが、その握手会で、「他のメンバーがやってるんだし、真ちゃんも一回やってみて!」みたいなリクエストがものすごく多くなって。
当時のマネージャーさんと「そこまで言ってくれるなら、ちょっとやってみようか」と話して実現したもの。その時点でも、AAAがあったから「挑戦しようかな」と思えたんです。
もちろん、ソロをやったことは後悔もしてませんし、アリーナいっぱいのお客さんに集まっていただけたことは誇りでもある。ファンの皆さんにすごく感謝はしています。ただ、AAAの活動が休止した後でソロをやることは、僕はどうしても想像できなかった。
2021.08.10(火)
文=菊地陽子
撮影=榎本麻美
ヘア&メイク=佐藤真希
スタイリスト=後藤泰治 (smb International.)