「アーティストだよ!」って言っても「ああそうなんだ」で終わる(笑)

――與さんは、グループがデビュー10周年を迎えた翌年、LAに留学して以降、日本とアメリカを拠点に活動するようになりましたが、そのときは、どんな気持ちで決断されたんですか?

 2015年にAAAが10周年を迎えて、その頃から、他のメンバーが積極的にソロをやっていくと聞いていたんです。でも僕自身は当時、ソロライブとかソロアルバムに対する意欲はなかった。

 それなら、グループ最年少で、14歳からエイベックスにいたことで、いわゆる普通の青春も送れず、普通の日常生活も送れていなかった分、海外に住んで、勉強しながら視野を広げたいと思った。最初は2年大学に通うだけのつもりだったんです。でも、結局居心地が良くなって(笑)。東京とLAを行き来するようになってもう5年半が経ちました。

 性格的にも、アメリカは合うと思っています。昔から結構自分の思ったことは言うタイプで(笑)、アメリカだとどこにいても、自分の意見を求められる。それが、僕にとっては心地いい。しかも、誰も俺のこと知らないし。

 俳優とかアーティストとか、売れてない人もたくさんいるから、「なんの仕事してるの?」って聞かれて、「アーティストだよ!」って言っても「ああそうなんだ」で終わる(笑)。特別視されないんです。

――今回、アルバムを出してからのツアーですが、アルバムにはどんな思いを込めましたか?

 今までAAAは、ファンのみんなとの距離が近いグループだったと思うんですが、そうすると至る所で、たとえば、「真ちゃんがいてくれたから仕事を頑張れています」とか、「色々大変なことがあったときに、AAAのDVDを見返すことで、元気になりました」みたいなコメントをいただくことがあった。

 そのたびに感動していたんですが、AAAの休止が発表されて、自分たちの活動を励みにしてくださっている人のことを思うと、めちゃくちゃ胸が痛んだというか……。

 AAAでもソロでも、音楽がきっかけで僕のことを好きになってくれている人が大半なのに、何もなくフェードアウトするのは自分勝手だなと。アーティスト活動休止の前に、ちゃんとかっこいい與真司郎をみんなに届けてから(笑)、またAAAが戻ってきたときにアーティストとして会おうね、という約束をしたかった。

 それで、アルバムタイトルを「THIS IS WHERE WE PROMISE」としたんです。僕はこれまでずっとファンのみんなに支えられてきたし、これからもそうだと思うので。

2021.08.10(火)
文=菊地陽子
撮影=榎本麻美
ヘア&メイク=佐藤真希
スタイリスト=後藤泰治 (smb International.)