42年生きてきた中で、一番癒やされてます
決定的に言えるのが42年生きてきた中で、いま、一番癒やされているということです。出産前は慣れない育児にイライラするかと思っていたんですが、そんなことは全くなくて。イライラさせられるのは夫だけ(笑)。娘に癒やされ、夫にイライラの毎日です。
今しかない娘の成長を、1歳くらいになるまではできるだけ見ておきたいですね。今でさえ、1か月の新生児の時の娘はもういないんだと思い、寂しくなります。新生児の服はもう着ないし、沐浴用のベビーバスを使うこともない、赤ちゃんらしい匂いも変わってきちゃった。この先いつまでおっぱいを飲んでくれるんだろうと思うと、「飲んでくれてありがとう」っていう気持ちになります。存在が尊いです。
最近は毎朝「生まれてきてくれてありがとう! ねえ、どのくらいママが愛してるって知ってるかな?」と娘に語りかけることから始まります。不思議なもので夫の「洗濯しておいたよ」には「ありがとう」が言えない。「ありがとうを欲しがってるんじゃないよ!」って思っちゃいます(笑)。娘には呼吸のように「ありがとう」って言ってしまうんですけどね。同じ「ありがとう」なのにこんなにも違うんですね。
娘が今、ものすごく喜ぶのが絵本の読み聞かせ。こんなにウケるならいくらでも読もうじゃないかって気になります。
そしてダンスもお気に入り。産後のダイエットも兼ねて娘の前で歌って踊ると、手足をバタバタさせて大喜びするんです。いろいろ試した中で、いちばんウケるのが「マツケンサンバⅡ」。あれは底抜けに明るい名曲ですよね。テーテーテッテテレーって、もう出だしからぐっとつかむんです。私が踊り疲れたら夫が交代して踊り続けます。ちょっとでもサボると不満そうになるので、私たちも手が抜けません。
“面白い”をたくさんの人に届けていきたい
そんなにも離れがたい娘を置いてまでいく仕事に対しては、よりしっかり向き合おうという意識を持つようになりました。
これからもバブルネタはもちろん続けますが、最近はバブルでお願いしますと言われることもあれば、ナチュラルでお願いしますということもあって、皆さんがいろいろな“平野ノラ”を求めてくださるのをありがたく思っています。
出産前からずっと、やりたいと考えていたこともあります。これまでに描きためてきた絵に新しい作品を加えて個展も開きたい。長年断捨離を続けてきて運が開けた実感があるので、それも広めていきたいです。あと、私は人生の大事な局面で「自分会議」をするんですが、その時に手帳を使って頭の中の整理をするんです。なので、その手帳術みたいなものも伝えていけたらいいですね。手帳のプロデュースとかも楽しそう!
芸人としてのこれからの活動は、面白ければなんでもありじゃないかと思うんです。3分間のネタをやる面白さもあれば、絵を描いて面白さが生まれることもある。そこに自分の思いが乗って、刺激や喜びを受け取ってくださる方がいるならなんでもあり。お笑いに限らず、いろいろなことに挑戦したいですね。
2021.06.27(日)
文=嵯峨崎文香
写真=深野未希