叶った夢の、その先を模索しているところ

 これまでドラマや映画で演じてきたのは、心優しい料理人からツッパリ、同性愛者から殺し屋まで幅広い。最新作は、意外にもこれが連続ドラマ初主演となる「演じ屋」。

 そして今回演じるのは、ひょんなことから依頼された役になりきる“演じ屋”の世界に足を踏み入れた、ごく普通の青年。

「僕が演じるトモキは自分を痴漢の冤罪に追い込んだ犯人たちに復讐をする役なんですが、とにかく人の言うことをすぐに信じてしまう優しい男。本当にピュアな人間で、漫画に登場するような王道の主人公キャラなんです。僕がこれまで演じてきた役とは違って癖も強くない。

 よく普通の役を演じるほうが難しいと聞いていたので、そうかなと思っていたのですが、案外普通の役のほうがうまく力が抜けて自然にできました。そこにどう個性を乗せていくかは、試行錯誤でしたけどね」

 子どものころに憧れていたのは、俳優ではなくお笑い芸人。とにかく目立つことと笑わせることが好きで、ネタを披露するような子どもだった。そんな少年が俳優に興味を抱いたのは中学生のころ。夕方にテレビで放映される昔のホラー映画などに触れるうちに、映画の世界に没頭するようになり、自主映画を制作するまでになった。

「高校受験までは1位を取りたいと思って勉強もかなり頑張っていたんです。でも高校に入ってからはお芝居という明確な目標ができたので勉強する意味を見出せなくなってしまって。国語の授業でも、ひとりだけ演劇チックに感情を込めて音読したりしてました。

 そのころはとにかく、俳優になってテレビや映画に出たい、芝居をしたいということばかり考えていました。その思いが強すぎて、夢が叶った今では正直、次の明確なビジョンがなくなってしまって。この先には一体何があるんだろうって、すごく考えています。とにかく続けること、トライすることで進むべき道を見つけていくしかないと思っています」

» この続きはCREA2021年夏号で読めます♪

直筆サイン入りポラを2名様にプレゼント!

 CREA2021年夏号をお買い上げの方に、直筆サイン入りポラロイド写真をプレゼント♪ 応募〆切は2021年9月6日(月) 消印有効。詳細は誌面をチェック!

磯村勇斗(いそむら はやと)

1992年9月11日生まれ、静岡県出身。主な出演作は連続テレビ小説「ひよっこ」、ドラマ「今日から俺は!!」、「きのう何食べた?」など。現在、大河ドラマ「青天を衝け」に出演。映画『東京リベンジャーズ』、『劇場版 きのう何食べた?』が年内公開。

ドラマ「演じ屋」

痴漢の冤罪で仕事も婚約者も失ってしまったトモキ(磯村)は、客から依頼された役になりきる“演じ屋”のアイカ(奈緒)を雇う。
脚本・監督:野口照夫
出演:奈緒、磯村勇斗ほか
7月30日より毎週金曜23:30~WOWOWにて放送・配信スタート。
https://www.wowow.co.jp/drama/original/enjiya/

2021.06.20(日)
Text=Kozue Matsuyama
Photographs=Tomoki Kuwajima
Styling=Ryosuke Saito
Hair & Make-up=Tomokatsu Sato

CREA 2021年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

ちょっとだけアウトドア

CREA 2021年夏号

ちょっとだけアウトドア

特別定価900円

CREA6月発売号は「アウトドア」特集。ビルの間を移り行く空に道ばたに咲く草花、ベランダで感じる風――少しだけ感覚を拡げてみると、自然は案外私たちのすぐ近くにあることに気づきます。日常に落ちている、小さな自然の気配を拾い上げられたなら、窮屈に感じる日々も、少し楽しくなるかもしれません。ベランダで過ごす一日から、身軽なキャンプまで、アウトドア気分をちょっとだけ、お届けします。