石原慎太郎 「太陽の季節」
1955年度 下期 第34回芥川賞受賞

最少の投資で最大の利潤を挙げたみたいなもの

 この時点での最年少、23歳だった石原慎太郎の受賞は大きな話題となり、芥川賞の名を一気に広めた。「九時近く知人の新聞記者からの電話で受賞を知らされた時は、突き抜けるような嬉しさが體を走った。(略)この作品はこれで、最小の投資で最大の利潤を挙げたみたいなものだから、夢はこれからの作品だと言うことを僕自身が誰よりも感じる」(受賞の感想)。石原慎太郎はかなりの悪筆だったそうで、作家になった当初は原稿用紙1枚10円で弟の石原裕次郎が清書を請け負っていた。

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2013.05.05(日)
text:Yoshiko Usui
photographs:Mami Yamada / Bungeishunju

CREA 2013年5月号
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