家族の食事を作るのはお手のもの

――谷原さんは、料理がお上手ですよね。

 ご飯はよく作りますね。とくに自粛期間中は家族全員家にいたので、朝、昼、晩の3食すべて作っていました。

 食材がいつも行くスーパーだと足りないので、業務用スーパーの「肉のハナマサ」や「コストコ」でどっさり買ってました。

 ハナマサは予想以上によかった。チーズや肉の種類が豊富で、季節の野菜が安くなっていたのが助かりました。

――献立はどんなふうに考えるんですか?

 子どもたちの年齢が離れているので、大人向けと子ども向けで分けて作ります。肉が好きなやつ、魚が好きなやつがいるので、メインは最低でも2種類は用意します。

 基本的にはスーパーで食材を見ながら決めるんですが、今日はアナゴが安いからフリットにしようとか。どうせ揚げ物を作るなら米ナスも一緒に、とか。

――レパートリーはかなり多いのでは?

 増えましたね。今日は中華にすると決めたら、餃子、青椒肉絲、回鍋肉にあんかけチャーハンといったように、ひと通り作るときもあります。

――料理をすることが息抜きになったりも?

 確かにそう。料理って最後には完成するんでストレスが晴れますね。

 俳優の仕事は稽古や準備期間が長くて、ゴールが遠い。料理は短い時間で完成して、結果がすぐに見えますもんね。

 失敗することも喜んで食べてくれることも、達成感につながるのが心地いいんです。

――裁縫も得意と聞きました。

 そうですね。この間、うちの犬がソファをガリガリして中綿が出ちゃったのを、縫って直しました。

 昔から技術・家庭科が得意で、電気回りの修理も自分でします。たぶん、サバイバル能力は高いと思います(笑)。

――家事もしっかりされて、たまにはひとりでのんびりしたいと思ったりしませんか?

 こういったらキレイごとと思われるかもしれませんが、奥さんには休みがないじゃないですか。ずっと家にいて、友達と遊びに行くのも年に数回くらいしかないし。

 その分、僕は移動の車の中でひとりになれるので、充分だと思ってます。外には出させてもらっていますし。

――ウェブマガジン「好書好日」で本を紹介する「谷原書店」という連載もされています。読書がリラックスタイムでもあるんですか?

 最近はもっぱらマンガのほうが多いですね。出発点は小学生の頃に読んでた少女マンガで、「LaLa」「花とゆめ」「別冊マーガレット」にはじまり、結婚する前までは「少年サンデー」「少年マガジン」「ヤングマガジン」「ビッグコミック」などは毎週買っていました。

 ここ数年、マンガ熱が復活して電子版でよく読んでます。最近はまっているのが和山やまさんの『カラオケ行こ!』。ヤクザが合唱部の中学生に歌を教えてもらうという話なんですが、めっちゃおもしろいです。ヤマシタトモコさんの『さんかく窓の外側は夜』も好きです。

――仕事と同じように、好きなことにのめり込むエネルギーが、年を重ねても変わらないのがすばらしいですね。最後に舞台『チョコレートドーナツ』への思いを聞かせてください。

 原作の映画と同じようにダウン症のある子がダブルキャストで出演します。彼らの無垢で強いエネルギーを皆さんに感じてほしいし、僕ら全員で家族として見守り、歩んでいきたいと思っています。

 いまの時代、オンラインで足りる部分もあるかもしれないですが、最終的には人が直接会って触れ合わないと、どこか人間らしさを失うと思うんです。ですから、舞台に足を運んでいただき、生の臨場感を味わってほしいですね。

谷原章介(たにはらしょうすけ)

1972年7月8日、神奈川県生まれ。1992年に雑誌「メンズノンノ」の専属モデルとなり、95年に映画『花より男子』の道明寺司役で俳優デビュー。2004年に「新選組!」「プライド」などのヒット作に出演するほか、07年より約10年にわたり情報番組「王様のブランチ」の司会を務める。現在は「パネルクイズ アタック25」の司会をはじめ、ドラマ、映画、舞台などで幅広く活躍。

PARCO劇場オープニング・シリーズ『チョコレートドーナツ』

舞台は1979年のカリフォルニア。ショーパブのダンサーとして日銭を稼ぐルディ。ゲイであることを隠しながら生きていた検察官のポールは、ルディにひと目惚れをし、自分が本当に求めるものに気づき始める。そんな2人の前に現れたのがダウン症のある少年マルコ。母親が薬物所持で逮捕され、孤独になったマルコを引き取り、愛情深く育てる。3人での暮らしが始まってしばらく経った頃、ゲイカップルであることが周囲に知られ、平穏な生活が一変していく……。

会場 PARCO劇場
公演期間 2020年12月7日(月)〜12月30日(水)
※2021年1月より、上田(長野)、仙台(宮城)、大阪、東海(愛知)へ巡業
問い合わせ  パルコステージ(https://stage.parco.jp/)

2020.10.28(水)
文=CREA編集部
撮影=榎本麻美
スタイリング=澤田美幸
ヘアメイク=川端富生