ゲイのことは10代の頃から興味があった

――ゲイであることを隠し続けていたポール役については?

 映画は実話に着想を得た作品です。本作の時代背景となっている1970年後半だとゲイがようやく市民権を得てきたぐらいの時期で差別意識が強かったと思います。

 同性愛映画の作品のなかには、ゲイであることを隠して幸せになっていく話もありますが、ポールは真面目でピュア。社会規範に縛られながら生きていていかなければいけなかった。

 舞台ではストーリーとお客さんをつなぐ語り部としての役割も与えられているので、映画よりは客観的な側面が強くなると思います。

――谷原さんは最近だとドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る。」など、同性愛者の役が少なくありません。

 多いですよね(笑)。デビューして3年目くらいに『デボラがライバル』という映画でオカマ役をやったのが最初です。

 それ以前から、ゲイやトランスジェンダーなど、LGBTQに興味があって。クレアさんもよく特集やってましたよね。買って勉強させてもらっていました。

――ありがとうございます! 役作りのためにゲイの方に会うなどされていたんですか?

 『デボラがライバル』のときショーパブ「黒鳥の湖」とか、いろいろ行って観て学びました。

 ゲイに関しては10代の頃から竹宮惠子さんのマンガ『風と木の詩』や映画だと『アナザー・カントリー』や『モーリス』なんかを観ました。だから積み重ねは結構あるんです。

――ポールを演じるにあたって準備することはありますか?

 原作の映画を再度見ることはないと思います。というのも以前、別の作品の撮影中に原作を読んだら、ひっぱられちゃってキャラクターが変わってしまったことがあったんです。

 もちろん、映画の『チョコレートドーナツ』はリスペクトしますけど、舞台で作る世界を大切にしていきたいんです。

2020.10.28(水)
文=CREA編集部
撮影=榎本麻美
スタイリング=澤田美幸
ヘアメイク=川端富生