先ずはそのままで、シメは出汁をかけて

「船凍さば漬け丼」(980円)

 ご主人が運んできた丼には、綺麗に並んだサバとたっぷりの葱ときざみ海苔、傍らにお出汁が添えてあった。先ずはそのまま頂いてみる。口にほおばった瞬間、広がる青魚の脂! 今まで食べたサバはなんだったのか。美味しいサバは沢山食べてきたが、全く違う美味しさなのだ。果たしてこれはサバなのか?

「脂ののった旬の時期に、船上冷凍して保存します。青魚は足が速い。大衆魚だからといって、粗末な扱いをしていたら旨いものも不味くなってしまう。鮮度が大事なのです」

 サバ本来の甘みを生かす工夫がされているのであろう。漬け具合も、醤油加減がしょっぱ過ぎず甘過ぎず絶妙のバランス。気づいたら丼は半分以上なくなっていた。ご主人に促されて、慌てて傍らのお出汁を掛けてみる。立ちのぼる湯気と共にサバがまた違う表情を見せる。丼に口を付けてさらさらと流し込むと、凝縮された旨味がふわっと広がってきた。日本一脂ののった「八戸前沖さば」の実力には改めて驚かされる。

「八戸には最高に旨いサバがある。そのことをもっと全国の皆さんに知っていただきたい。そう思って自費で『どんぶり選手権』に参加しました。まさか3位になるなんて、夢にも思ってなかったんです」

 三方を海に囲まれた青森は様々な食材の宝庫である。「俵屋」では、八戸港沖合にやってくる日本一旨いサバを通年で楽しめるのが嬉しい。気さくなご主人が振る舞う「船凍さば漬け丼」を是非お試しあれ。

もうひとつの人気メニュー。八戸産イカやイクラ、卵黄などを使った「八戸ばくだん」(1050円)

寿司と新・郷土料理 俵屋
住所 青森県八戸市姥畑9-2
電話番号 0178-33-6161 
営業時間 11:30~14:00、16:00~22:00 ※土日祝日は通し営業
定休日 毎週月曜日(予定)
URL hachinohe-tawaraya.com/index.html

2013.02.18(月)
photographs:Emiko Fukuda