人々の心を揺さぶり、歴史を変えた女性の活躍を池上さんが紹介する特別講義が、お茶の水女子大学で行われました。歴史観、職業観、生き方のヒントが満載の熱血授業を大公開!
CREA新連載「世界を変えた10人の女性」より、今回は「ザ・ボディショップ」創立者 アニータ・ロディックです。
化粧品業界に革命を起こし 社会活動とビジネスの共存を実現
アニータ・ロディック (「ザ・ボディショップ」創立者)
1942年10月23日イギリス生まれ
情熱に動かされて行動
アニータ・ロディックはイングランド南東部の海辺の町リトルハンプトンで、イタリア移民の大家族の元に生まれます。実家は駅前でカフェを営み、アニータは店の手伝いを通して、接客業や経営について、自然に体得します。
彼女は最初、演劇学校に行きたかったのですが、周囲のすすめもあって教職を志すようになり、教育大学に進学。論文のために留学したイスラエルで旅に魅了され、教員資格を取得するものの教師の生活にとどまることはありませんでした。
友人を訪ねて行ったパリで、英字新聞を発行する〈インターナショナル・ヘラルド・トリビューン〉の資料室への就職を決めたり、その後教職に就いたりするのですが、夏休みにギリシャに行った帰りに立ち寄ったジュネーブで、なんと国連の国際労働機関(ILO)に直談判して、職を得てしまったり。ILOも1年で辞め、次は島を渡る旅へ。タヒチ、ニューカレドニア、オーストラリアのシドニーでは働いてまた旅の資金を貯め、マダガスカル、モーリシャスに。その後南アフリカで黒人のクラブイベントに行ったことが当時の人種隔離政策に触れ国外退去となり、気ままな旅は終わります。
故郷に戻ると、その時は一人でスペイン風ナイトクラブを経営していた母親に、常連客の男性を紹介されます。それが、ゴードン・ロディックでした。一目惚れしたアニータの猛烈なアプローチにより二人は結婚、二人の娘をもうけます。外向的なアニータと内省的なゴードン、性格は対照的ですが、一人で放浪するのが好きだったり、核開発に反対するデモに加わったり、貧困や飢えのための募金活動も積極的に行ったりするなど価値観が似ていました。
一家は地元でホテル経営と、続いてレストラン経営を行います。失敗もありましたが試行錯誤を繰り返し、レストランは人気店に。しかし繁盛すればするほど負担が増え、売却することにします。
夫のゴードンは長年の夢だった馬で南米から北米までを縦断する旅に出るというので、34歳のアニータが自分一人で何かできる商売はないかと考え、思いついたのが、化粧品ビジネスでした。
2013.02.04(月)
composition:Yukari Nukumizu
photographs:Atsushi Hashimoto / REX FEATURES(Aflo)