車いすテニス界で活躍するエンジニアとプレイヤー
オリンピックと共に約1年の延期が決定した、東京パラリンピック。
種目に選ばれている障害者スポーツのひとつ、車いすテニスを題材に、少女小説出身の阿部暁子が傑作を書き上げた。
パラ小説 #01『パラ・スター〈Side 百花〉』
第1巻に当たる〈Side 百花〉は、競技用車いすの新米エンジニア・山路百花が主人公だ。
彼女がこの道を進んだきっかけは、中学2年生の頃から10年来の親友であり、日本代表チームに選出された車いすテニス界の新鋭・君島宝良の存在があった。
選手を支えるエンジニアのやりがいを描くお仕事小説
でも宝良の活躍に比べると、自分なんか……。
うずくまりそうな心を奮い立たせてくれたのは、クライアントだ。
車いす製作ならではの営業設計(=クライアントと直接やりとりし、その要望をもとに図面化まで引き受ける)という仕事のやりがいが、彼女にこの道を選び直させる。いわば、天職を知る物語なのだ。
2020.07.27(月)
文=吉田大助