◎あのスターの初々しい姿

 若手俳優にとって青春映画は避けては通れぬ登竜門。あの名俳優たちも意外な作品に出ていた。

免疫不全の青年が体験する 未知との遭遇

『バブル・ボーイ』

 「主人公がこれまで未知だった世界に触れて人生を一変させる。これもまた青春映画の定石。

 免疫不全でずっと自宅の中のビニールハウスで生きてきたジェイク・ギレンホール演じる青年が、バブルスーツを着て初めて外へ出るという物語を通して、“外界に触れる”という定石を、比喩ではなく映像のレベルで描くというアイデアが秀逸です」

●ストーリー

 免疫系の障害を持ち、家の中の無菌環境で生きてきたジミー。

 彼は思いを寄せる幼馴染の女性の結婚を食い止めるべく、バブルスーツを装着して人生で初めてひとりきりの外出を決意する。

『バブル・ボーイ』

監督 ブレア・ヘイズ
出演 ジェイク・ギレンホール、スウージー・カーツ、マーリー・シェルトン、ジョン・キャロル・リンチ、ダニー・トレホ、ヴァーン・トロイヤー、デイヴ・シェリダン
2001年

◎ダークファンタジー系

 体の変化に戸惑う少女の物語を、ダークファンタジーのタッチで描くと……。

少女が狼人間になるというアイデアに脱帽

『ジンジャー スナップス』

 「青春映画において、“子どもから大人の体への成長”というテーマは定番。ですが、それを少女が狼人間になるという形で作品化してしまうのには驚きました。

 しかも、狼人間になった少女は色気が出るという設定なんですが、画面に映っている女優さんも実際に色気があるように見えてくるのがすごい。

 あと、本作に関しては、街の描写もとても気合が入っているんです。何とも言えず幻想的で。そういう異色な点も含めて、偏愛している作品です」

●ストーリー

 森の中で少女が謎の獣に襲われる。傷はすぐに癒えるも、彼女の体には奇妙な変化が現れ、ついには狼人間になってしまう。

 彼女の妹は、姉を元通りの姿に戻すべく奮闘するが……。

『ジンジャー スナップス』

監督 ジョン・フォーセット
出演 エミリー・パーキンス、キャサリン・イザベル、ミミ・ロジャース、クリス・レムチェ、ジェシー・モス、ダニエル・ハンプトン
2000年


◎降矢 聡さんの「映画のおとも」

 アメリカのティーン・エイジャーたちがパーティで食べていそうなピザとアメリカのクラフトビールが降矢さんのおすすめ。

●選んでくれたのは……
降矢 聡(ふるや さとし)

グッチーズ・フリースクール主宰。1986年生まれ。映画団体グッチーズ・フリースクールで上映会を企画。2010年代のアメリカ映画の本『USムービー・ホットサンド』(フィルムアート社)では編著を務めた。グッチーズ刊行の雑誌「ムービーマヨネーズ」第1号も青春映画特集だった。

心底好きといえる
プロが選ぶ傑作ドラマ&映画

2020.06.26(金)
Text=Keisuke Kagiwada
Illustrations=Miltata

CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

偏愛のすすめ。

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偏愛の対象は人それぞれ。愛するものと出合った人たちの言葉は、どれも純粋な喜びに満ちていて、耳を傾けているだけで幸せな気分にしてくれます。パンダに魔女っ子おもちゃ、脚付きの器にカツカレーの食べ方まで。マイワールドを謳歌する人々の“偏愛”を盛りだくさんでお届けします。気になる作品満載のBOOK in BOOK「愛してやまない映画とドラマ」も必見です。